仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 


 

●兇刃





□仙波家

  八重子が王仁の弁当を作っている。王仁は弁当を持って消防署に出かける。

八重子「あら、お弁当持ったん?」

  庭先につないでいた子犬が王仁にじゃれついてくる。その頭をなでてから

王仁「(明るく)うん。母さんの弁当が一番おいしいよ。いっつもありがとう。また肩をもんであげるけんね。じゃあ行ってきまあす」



□松山市中央消防署1階正面

王仁「おはようございまあす」

署員「おう仙波、署長が出勤したら屋上に来い言うとったぞ」

王仁「へー、なんやろな」

  王仁、消防署に入る。



□松山市中央消防署屋上

  王仁が屋上に上がって行くと、署長がひとりで座っている。
  王仁を見ると署長はのっそりと立ち上がる。

王仁「署長、おはようございます」

署長「おう、お前にのう、話がある。 お前はのう、消防を辞めや」

王仁「な、なんですか、いきなり」

署長「お前はのう、自分でもわかっとる思うけど、生活態度に問題がありすぎるんよ。お前みたいなんがおったら、わしの成績が下がってしまおうが。やけんな、お前は黙って消防を辞め。今すぐ辞め」

王仁「署長、それは無茶ですよ。私は何も悪ないじゃないですか。休みを取るのがいかんのですか。定められた休暇の範囲やないですか」

署長「ふん、やっぱりお前には問題があるのう。ほじゃけんお前のためにの、ええもん用意してやったぞ。
(包丁を取り出す)お前が素直に辞めたら問題はなあも起こらん。辞めんかったら、お前がこの包丁を持ち出してきて、いじめられた腹いせにわしを脅したいうてみんなに言うぞ。そしたらお前はまちがいなく懲戒免職やろが」

王仁「ぼくがそんなこと、するはずないやないですか」

  署長は包丁をヒラヒラさせる。

署長「そうかのう。世間はわしが言うことと、ヒラ署員のお前の言うことのどちらを信用するかのう……。どっちにせよ、お前はもう辞表を出すしかないんぞ。ほらほら、どーするんぞ」

王仁「汚い。そんなことが通ってたまるか」

  王仁は署長につかみかかり、包丁を奪おうとするが、包丁を奪い取れない。
  王仁はとっさに、階段にあった電気コードで署長の首を締める。
  署長は大声で署員を呼ぼうとする。

署長「おーい、だれか来てくれ。仙波が、仙波が!」

  王仁はやっと包丁を取り上げる。
  そして署員を呼ぼうとしている署長ののどに2回突き刺す。
  署長はその場でこと切れる。
  署長ののどを刺した後、王仁は茫然と署長を見下ろす。
  そこに署員たちが駆けつけてくる。



□松山警察署留置所面会室

仙波が座って待っていると、王仁が入ってきて泣き崩れる。

王仁「父さんごめんよ。殺すつもりなんかなかったのに。ごめんよ、ごめんよ。お母さん……」

仙波「わかっとる、わかっとるぞ王仁……」

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。