仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 


 

●家庭





□ヤクザの組事務所

  仙波は和家(わけ)組事務所の玄関に入る。
  若い衆が制服警官の姿を見て驚きながら出て来て、
  仙波の胸ぐらをつかんだ。

仙波「組長おるか」

若い衆「こらっ、お前何しに来たんぞ。あぁ」

  仙波はつかみかかってくる若い衆の手をねじり上げて、
  若い衆を壁際に押しつけ、若い衆よりも大声で怒鳴り返す。

仙波「巡回連絡で実態把握に来とんやが、何じゃあおどれは」

  仙波は事務所の中を見回す。

仙波(組長に向かって)「今度ここの駐在にやってきた仙波敏郎いう者や」

若い衆「くぉらあ、誰に向かってもの言うとんじゃ」

親分(若い衆に)「 サブ、黙っとれ。わしが組長の和家や」

仙波「俺がここにおる間、もめ事を起こすなよ。
 駐車違反や深夜マージャンで隣近所に迷惑かけるな。警告しとくぞ。何かあったら一発でガラ引っ張るけんのう。わかったか」

親分「わかった。あんたには筋を通すけん。お前らも仙波さんにあいさつしとけ」

若い衆(うってかわってしおらしく)「へえ、おやっさん今後はよろしくお願いします」

  若い衆は頭を下げる。



□数年後、仙波の家

  仙波の家庭は、3人の男の子と犬、サル(ポケットモンキー)、ワニ、カメレオン、アライグマ、インコ、大ヤドカリ、熱帯魚などの動物であふれていた。
  食卓を囲む仙波一家。

仙波「王仁、男はウソをつくなよ。自分の信念をはっきり主張する男になれえよ」

王仁「わかっとるよ、そんなに何度も言わんでも」

仙波「それから……」

王仁「弱い者いじめはするなやろ。それもわかっとる」

八重子「あなたはもう、いっつもついなことばっかり……」

仙波(照れ笑いしながら)「王仁は、大きくなったら何になりたいんぞ」

王仁「僕は、お父さんみたいに、人を助ける仕事をしたいんよ」

仙波「おっ、やっぱり、警察官になるんか」

王仁「ちゃうよ、僕は消防士になりたいんよ」

仙波「似たようなもんやろうが」

  明るく笑う仙波一家。 



□小学校の校庭

  警察のヘリコプターが砂煙を巻き上げながら着陸する。
  ヘリから数匹の捜査犬が降りてきて、遺留品の鑑別を行う。
  鑑別が当たると子供たちが歓声をあげる。
  その様子をテレビカメラが撮影している。
  小学校には警察庁から来ている小林県警本部長が、同期の菅と一緒に視察にきている。
  小林本部長は、仙波からインタビューを受ける。

小林「わが県においても、このように機動的な捜査体制の充実を図っております。県民の皆様のより一層のご支援をお願い申し上げる次第です」

仙波「ありがとうございました、愛媛県警の小林本部長に伺いました」

菅「本部長、彼が今回、地元CATVでの警察広報番組の企画を実現した仙波巡査部長です」

小林「君が仙波君か。この企画は君のアイデアだそうだな」

仙波「はい。1年間続く10分番組です。カメラマンは鑑識係がやっとります」

小林「うむ。君は警察官には珍しく企画力があるな。君のところの署長も全国表彰されて鼻が高いだろう」

仙波「ありがとうございます」

小林「君は成績も抜群に良いし、頭の切れる警察官だ。もうちょっと融通を利かせてくれれば、いくらでも出世できるんだがな」

仙波「恐縮です」

小林「君のようなできる部下ならいくらでも必要なんだ。(菅の頭を押さえて)本部はこいつみたいなぼんくらばっかりでな。覚えといてくれ」

  小林は公用車に菅と乗って走り去る。

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。