仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 


 

●裏金との出会い





□居酒屋

  署内での飲み会で、仙波は酒が飲めないので水を飲んでいる。

菅「お前、よう水なんか呑んどれるなあ」

仙波「酒を飲めなんけんな。なんで警察はこんなに飲み会が多いんかのう。
 のう白石、署長はひどい思わんか。せっかく切ったヤクザの違反切符を平気で取り消すんぞ。何が正義なんかのう」

白石「ほれよ。刑事課の先輩から聞いたんやけど、この間署長がパラダイスで友近組の村上から接待されとったらしいで」

仙波「ほんとか、それ?」

菅「それどころか、署長自身がいつも酔っ払って運転しとるもんなあ。うちの課長も、朝酒臭いことあるし」

仙波「よしっ、次は署長をつかまえて切符を切ってやる」

白石「アホかお前は」

菅「ハハハ、やけど不思議やのう、わしも警ら中に署長と本部の部長らだけで、なか万に入っていんのをしょっちゅう見とるで」

仙波「なか万って、あの芸者が来る道後の料亭のことか?」

白石「不思議やのう、刑事部長でも、そんなとこに行けるほど給料もろていないはずなのに」

菅「業者につけ回ししとるんやろか」

玉井(酔っぱらって、割って入ってくる)「おう、小僧、警察にはのう運営費ってもんがあるんよ。お前らも昇任すればわかるようになるわい。
 年末や異動前に、会計課長が領収書を持ってくるんよ。そこに鉛筆で薄うく他人の名前が書いてあるけん、その上をちゃあんとなぞるんぞ。ほしたらお前らもいつかは料亭に行けるようになるんじゃがや」

菅(ふざけて)「了解であります」

仙波「なんで警察組織の中に、そんなわけのわからんカネの流れがあるんですかねえ?」

玉井「まあ仙波、ぶっすっとしとらんで、飲まんかい。なんぞぅ、おれの酒が飲めんのか」

仙波(玉井の方に向き直って)「僕は飲めんって言いとるやないですか」

玉井「ほうか、先輩の命令が聞けんのか。警察の中でほういう態度が通ると思とんか」

仙波(立ち上って)「そんなに言うんやったら、表に出て2人で話つけますか」

白石「こらっ、仙波……」

  菅と白石が慌てて仙波を外に連れ出す。

菅「すんません玉井さん、コイツ水でも酔える大馬鹿野郎なんです。許してやってください。さあ、仙波、行くぞ」



□警察署内、地域課 御用納めの日

  地域課長が封筒を他の課員と同時に仙波に手渡す。
  他の課員は「ありがとうございました」と、封筒を受け取る。

仙波「なんですかこれ?」

  仙波が開けてみると、中に2000円入っている。

課長「これはのう、表に出せん金の分配金やが。もらっとったらええんやが」

仙波「いわれのない金をもらうのはおかしい思います。僕は給料以外のお金は結構です」

課長「ほうかぁ、みんなもろとるんじゃがのう。じゃ、そういうことで」

  言いながら、課長はうれしそうに封筒を自分のポケットにしまう。釈然としない表情の仙波。

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。