仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 


 

●警察社会の現実





□松山西署堀川交番

  仙波と管、白石は新任で松山西署地域課に配属される。
  仙波はそこで、警察学校で教わったことと現実のギャップの大きさを知る。

  業者が交番に、次々とビールや日本酒、食べ物、電気製品などの
  付け届けを持ってくる。

業者(パチンコ屋)「いつもお世話になっとります。これ皆さんでどうぞ。15個でええんですよね。いえいえ、ええんですよ」

先輩警察官玉井「おっ、ビールか、気がきくのう。

業者(タクシー)「これ、いつものやつですけん、収めてください。いろいろありますけんど、よろしくお願いしますね」

警察官玉井「いい加減にしとれよ、見逃すにも限度があるんで」

業者(タクシー)「はい、そこのところをよろしくお願いしますって事なんですよ、玉井さん」

業者(クラブ)「こんにちは。これ、うちのママから。たまには来てくださいね、お安くしときますから」

警察官玉井「新しい子入ったんけ?」

業者(クラブ)「もう、ばっちり玉井さん好みの子よ。今晩でも来てや」

警察官玉井「うそつけえ、わしの好みなんか知りゃすまいが」

業者(クラブ)「知っとるよ、私みたいなんがええんでしょ。私ちょっとこれから署長さんの所に行ってくるけん、後でゆっくりね」

  仙波と菅は茫然として一連のやりとりを見ている。
  玉井は付け届けを手際よく分配する。

警察官玉井「パラダイスは商品券と。松山タクシーは日本酒、三津浜パチンコは扇風機、関西運送は……しけとるのう。ホイ、これお前らの取り分ぞ」

仙波「玉井さん、これなんですか?」

警察官玉井「ええ? 業者からの、あいさつやが」

菅「すごいですねぇ、警察いうんは一般の人が媚び売ってくるんやなあ。警察に入ってよかったなあ」

仙波「先輩、僕酒飲まんですけん、先輩にあげます。商品券と扇風機は菅にやるわい。警邏にいってきます」

  仙波が席を立って出ようとすると、
  交番に入ってきた白石に声をかけられる。

白石「おお仙波、署長がお呼びだぞ」



□松山西署署長室

  署長に呼ばれた仙波が直立不動で立っている。

署長「仙波、お前はなかなか頑張っとるらしいやないか」

仙波「ありがとうございます」

署長「そいでのう、越智社長の交通違反切符を切ったのはお前か」

仙波「そうであります」

署長「ほうか、県会議員の一色先生から話があってなあ、あの切符は取り消させてもらうで」

仙波「越智の違反は悪質であります」

署長「ええんやが。ちょっと先生に借りがあってのう。ほいから友近組の村上の切符も取り消すぞ」

仙波「なぜでありますか」

署長「あいつは友近組の動きを探るためのスパイなんやが。やけん切符はまずいんよ」

仙波「承服できません」

署長「あんなあ仙波、わしらにはスパイが要るんやが、やけん切符は切れまいが。わかろがや」

仙波「わかりません」

署長「わからんかったら、わかれ!」

仙波「わかりました」

署長「わこたら、下ごてよし」

仙波「仙波、下がります」

  仙波は不承不承、署長室を出ていく。

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。