仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 

●少年時代





□50年前の仙波家 仙波の回想

  仙波が学校から帰ってくる。

仙波「お母ちゃん、また100点取ったよー」

母親「頑張ったねえ、敏ちゃん。じゃあ今日は、敏ちゃんが好きな肉じゃがや」

仙波「やったあ!」

仙波(独白)「そう、あれは僕が8歳のころ、母さんの店の店先に売り物のあめ玉が置いとったんよ。僕はそれが欲しかったんやけど、苦労しとる母さんにどうしても、あめ玉が欲しい、と言えんかった」

  仙波は黙ってあめ玉を食べてしまう。
  母親はその姿を見つけ、仙波の頬をたたく。

母親「敏郎!」

  あめ玉が地面に転がる。うずくまる仙波。  母親は泣きながら仙波をしかる。

母親「どうして? なんで母さんに断れんの? 黙って食べたら泥棒やろ。母さんはね、情けないよ。敏ちゃんがそんな子やったなんて、情けないよ」

仙波(泣きながら)「ごめんなさい。だって、母さんいっつも朝から晩まで働いとって、いっつも苦労しとるのに、僕、「あめちゃんが欲しい」なんて言えんかったもん。そんなん言えんもん。言えんかったもん」

母親「ほうやったん……。
 やけど敏ちゃん、これだけは覚えとおき。黙って食べたら泥棒だよ。どんなに貧しくても、曲がったことをしたら亡くなったお父さんに顔向けできんやろ。
 人のものを取ったり、人さまからいわれのないものをもらったりしてはいけんのよ。あんたはね、正直に、まっすぐに生きんといけんのよ」

仙波「お父さん……。
 ごめんなさい、もう2度とせんけん。これからは正直にするけん。人のものをとったり、悪いことなんて絶対せんけん、許してください」

  母親は黙って、仙波に新しいあめ玉を渡す。

仙波(独白)「東校では、僕は空手が得意で弱い者いじめが大嫌いなバンカラ高校生になっとった」



□1966年のある日、松山東高校の廊下

  弱り果てた顔の同級生が仙波に助けを求めてくる。

同級生「仙波ここにおったんか、やっと見つけたで。助けてくれやあ」

仙波「どうしたんぞ、そんな顔して」

同級生「校門の前で、工業高校の生徒に、目がおうた言うて絡まれたんよ。後で決着をつけたると言うて逃げてきたんやけど、お前、空手やっとるやろ。頼むけん、けんかを手伝うてくれや」

仙波「とろくさい奴っちゃなあ。俺に任せとけ」

他の同級生「工業高校のやつら、わしらはけんかに弱い思て、いつもちょっかい出してくるんやが。仙波、ようにやっつけてくれや」

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。