仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 

●馴れ初め





□仙波の回想 松山市駅前交番

  仙波が交番で座っていると、若くて美しい女性があわてて飛び込んでくる。
  きれいな人だなあ と見とれる仙波。

八重子「すみません、あの、私の飼っとる犬がおらんようになったんですけど」

仙波(気を引き締め直して)「まあ座って、詳しく話してください」

八重子「私が犬を車の中に入れてちょっと車を離れて、すぐに帰ってきたら、もうおらんようになっとったんです。茶色のポメラニアンです。スージーが自分でドアを開けられるはずはないし。だから誰かに取られたんじゃないんかと思て。わたし、鍵を閉め忘れとって」

仙波「あわてないでください、調書に書きますから。名前はスージーと……」

  仙波、調書をとる。



□市内のペットショップ

  警邏中の仙波はポメラニアンが売られているのを見つける。

仙波「ご主人、ちょっと。この犬はどこから来たんですか?」

主人「これはですね、ええと、そうそう、子供が売りにきたんですわ」

仙波(厳しい表情で)「それはいつごろのことですか?」

主人「それはですね、ええと、そうそう、先月の終わりごろやったね」

  しばらくして、仙波が八重子を連れてペットショップにやってくる。
  八重子の姿を見て、ポメラニアンは激しく鳴き、しっぽを振る。



□私駅前交番

八重子「今日は、仙波さんおられますか?」

菅「あっ、こんにちは。仙波なら、今巡回に出てますけど」

八重子「そうですか。これ、犬を見けていただいたお礼にと思いまして。
 仙波さんにぜひよろしくお伝え下さい」

  八重子、ふろしき包みを置いて帰っていく。



□あくる日 市駅前交番

八重子「こんにちは」

仙波(立ち上って)「これは八重子さん、ワンちゃんはどうですか」

八重子「仙波さん、ホントにありがとうございました。私、スージーがかえってこんかったらどうしょうかと思ってました。これ、お昼ご飯の差し入れです。皆さんでお召し上がりください」

菅「うわっ、こりゃすごいなあ。ありがたくいただきます」

仙波(菅が伸ばしてくる手をつねって)「ありがとうございます。お昼にいただきます」

八重子「喜んでもらえて嬉しいわあ。また持ってきますね」



□仙波は、八重子の実家である交番の近くの熱帯魚店に、愛車である750ccのバイクで乗りつけ、彼女とツーリングに出かけた。



□松山郊外の牧場

  仙波と八重子が牧草地に座ってサンドイッチを食べながら話している。
  乳牛がのんびり牧草を食べている。

八重子「ねえ、どうして敏郎さんは警察に入ったん?

仙波「そうやなあ、なんでかなあ……。やっぱり子どもの頃の……、そう、母さんの影響かなあ」

八重子「ふうん。子供の頃は、どんなやったん?」

仙波「仙波「僕は3歳の時に父親と死に別れたんよ。やけん父親の顔は覚えとらんのよ。
 母さんは地元でミスに選ばれるくらい美人やったけど、貧乏やった。も、もちろん八重子さんのほうが美人よ(汗)。
 そいで母さんは、縫い物と雑貨商売をして男ばかりの3人兄弟を育ててくれたんよ。
 僕は苦労しながらぼくらを育ててくれる母さんの姿を見て育った。ぼくにできるのは学校のテストで満点を取って帰って母親を喜ばせることだけやったなあ」

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。