仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 

●無力な報道への失望





□04年9月17日JR松山駅鉄道警察隊

  仙波を含む鉄警隊員たちが、県議会のテレビ中継を見ている。

白石「テレビ報道を受けまして、警察本部並びにすべての警察署で調査した結果、経理の不正と不適正な支出は一切見当たりませんでした。ただし、経理上のミスが30万円発見されましたので、これにつきましては県に返還いたします」

河野県議「県民から警察のほうへは、どんな声が届いとりますか?」

白石「県民からのご意見は、電話、ファクシミリなど合わせて520件です。しかしそのうちの7割はバカ、死ねといった精神異常者によると思われる、意味不明なものでした。
 (笑って)そうした人たちからの意見はよく来るんです」

河野県議「ははは、そうでしょうなあ」

鉄道警察隊員「あーあ、なんぞうのう。嘘ばっかりやが。こんなんよう。またわしら領収書書かされるんかや」

  仙波は厳しい表情でテレビを見ている。拳を握りしめる。



□警察学校射撃場

  警察の拳銃大会。射撃を待つ間、警察官たちは射撃場の外で立ち話をしている。
  仙波もその中にいる。

警察官「きのうの県議会、ひどかったなあ」

警察官「裏金をしこたまもろとる幹部が誰か免職になるやろ思とったら、それどころか、不正はない、まちがいがあっただけや、やと」

警察官「お前も、裏金つくらされとったんやろ」

警察官「わしは旅費の担当よ。刑事課全体のカラ出張の旅行命令簿を書いて、旅費を全部裏金にしとったで」

警察官「わしは残業手当の担当や。ぜんぶカラ残業よ。残業なんかする奴おるかい」

  警察官たちは仙波のことをちらちら気にしながら話している。

警察官「署の鉢植えのこと知っとるか。毎月新しいのが来とるように見えるけど、実は違う階の鉢植えと毎月入れ替えとるだけなんよ。9階分の植木鉢で年に100万の裏金つくりよるんで。せこすぎるやろ」

警察官「なんでもかんでも裏金にするわいのう、交番では、メモ用紙にも困っとる。仕事にいるケータイもパソコンも全部わしらの自前やもんなあ」

警察官「わしはもうニセ領収書を書かされるんはイヤや。もしマスコミが来たら、わしゃあ洗いざらいばらすで」

警察官「お前にそんな根性あるかい」

警察官「なにを。わしはやる言うたらやるんじゃ。わしらだって怒っとるんで」

  無言で射撃を行う仙波。

b.pnga.png

この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。