仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 

●テレビ記者の決意





□県警記者クラブ室

  県警は既に、大亀がリークしたことを察知している。
  正岡を懐柔して裏金報道をやめさせようと、県警の課長クラスが顔を出す。

正岡(独白)「こりゃ、たいへんなネタをつかんじゃったなあ~」

  正岡が座っていると、捜査一課長が顔を出す。

捜査一課長「正岡君よぅ」

正岡(びくっとして)「なんですか」

捜査一課長「んー、たまには、昼飯でも一緒にどうかなあ思てな」

正岡「いいですよ」

  正岡は捜査一課長と出掛ける。
  5時間後夕飯時、他の本部課長が顔を出す。

本部交通課長「正岡君よぅ」

正岡「なんですか」

本部交通課長「たまには、夕飯でも一緒にどうどうかなあ思てな」

正岡「いいですよ」

  正岡は交通課長と出掛ける。

本部生安課長「正岡君よぅ」

正岡「なんですか」

本部生安課長「たまには、昼飯でも一緒にどうだい」

正岡「いいですよ」

  正岡は生安課長と出掛ける。

捜査二課長「正岡君」

正岡「なんですか」

捜査二課長「たまには、マージャンでも一緒にどうだい」

正岡「いいですよ」

  正岡は捜査二課長と出掛ける。
  正岡、疲れて戻ってきて、ソファーに横たわっている。

正岡「これじゃ、身体がもたないよ」

  ウトウトしかけると、捜査一課員に起こされる。

正岡「なんですか、今度は」

捜査一課員「正岡さん、殺人事件発生。あんたにだけネタあげるけん」



□愛媛テレビ本社報道部

  正岡は報道部長に会う。

正岡「部長、じつはタレコミがありまして。僕は愛媛県警の裏金づくりの証拠を握っています。しかし、これは報道するべきかどうか迷ってます。ネタがあまりにも大きすぎますから」

報道部長「ほうか……(考えて)もし流したら、お前は今後愛媛県警で取材はでけんようになるやろな。うちに対する風当たりも厳しいやろう。もし報道せんかったら、お前はこれから一生、警察の友達として、おいしいネタを苦労せずにもらえるやろうな。

正岡「刑事課長にははっきり、裏金の件を出さんとってくれたら、事件ネタは全部お前にやる、と言われましたよ」

正岡「ほいで、お前はどっちがええんぞ?」

正岡「判らないから、部長のところに来てるんです」

報道部長「やけんど、これはお前自身の選択やけんのう。お前がやる言うんやったら、わしはかまわんで。
……ひとつだけ言うとこうか。お前がつかんどるネタは、いったい誰のもんなんやろうな」

正岡「俺のネタは誰のものか、ですか。そんなこと言われましても……」

報道部長「お前がつかんどるネタは、お前のもんやないんやないか? 県民のもんなんやないか?」

正岡(ハッとして)「部長、ありがとうございました。どうするか決めました」

正岡は吹っ切れた表情で報道局から出ていく。

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。