仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

仙波敏郎 愛媛県警巡査部長に聞く「裏金告発の行方」

警察だけに「悔い改めよ」と説いても始まらない

愛媛県警巡査部長
仙波敏郎 氏  

運営者 要は、こういう組織文化は「人治主義」ですから、「上の地位に上がって偉くなった人たちのいうことはまちがいがないことである」という絶対的な信念があります。上のものがカラスを「白だ」と言ったら「黒いカラスが白くなる」わけです。なぜなら「上の者はまちがわない」ということが前提だからです。
 「上の者は無謬であるから、法律に従うのではなくて、地位が上の者の言うことに従え」という文化なんです。だからそういう組織の人間は、「法律に従う必要などない」と堂々と言えるんです。

仙波  僕の投げた小さな石の波紋は広がって、確かに捜査報償費は全国で160億円くらいあったのが、今は50億円くらいまで、ほぼ3分の1まで減っています。

運営者 ほぼそれは、警察の人たちの懐に入っていたものが入らなくなった金額と考えることができるわけですね。

仙波  まだ50億円残ってます。

運営者 愛媛県でいうと、平成12年の予算から較べて、国費と県費併せてだいたい1億2000万円くらい減ってますね。

仙波  県費の捜査報償費は今3000万円くらいでしょうか。だけど旅費が残ってるんですよ。
 僕の試算では、だいたい年間3-4億円くらいあった裏金が、1億5000万円くらいまで減ってきたのではないかと思います。

東   あまり極端に捜査費が減ってしまうと、「今までは何だったんだ」という疑問を持たれるので、警察官僚が「捜査諸雑費制度」というのをつくった。ひとり頭、毎月3000円程度の少額の捜査費を捜査員に使わせて「領収書を取って来い」というやり方を取り始めたね。
 それでかろうじて捜査報償費がゼロにならずにすんでいるということです。

運営者 東さんは、この県警の体質を変えるにはどこから手をつければよいと思いますか?

東   民主主義の立派な仕組みはあるのだから、その仕組みがきちんと動くようにすればいいだけですね。あっという間に片付きますよ。仕組みさえ働けばですがね・・・・・。

運営者 ということは、与えられた役割を果たさない人間は、首をすげ替えるということがあるでしょうね。

東   そうならざるをえんでしょう。警察が自主的、自律的に直すということなど期待せずに、民主主義の仕組みは「しばしば組織は過ちを犯すものだ」という前提で出来ているのだから、警察がだめだということであれば知事が予算執行権者としての権限を振るえばいいし、議会は普通に仕事すればよいし、きちんとした監査をすればいいんです。
 でもなぜ解決しないかというと、そっちもいかれているからですよ。
 だからその仕組みがまず動くのか、動かないのか、そこから始めないと。そうしなければ、警察だけに「悔い改めよ」と説いても始まらない。仕組みがきちんとあるんだから、この仕組みを動かせばいいんです。

運営者 もうひとつ、東さんの非常に面白い指摘として、「争議権はダメだとしても、警察官に団結権を与えよ」というご提案がありますね。これは面白いですね。

東   内部告発をした警察官は、逃げ込む場所がないんです。異端視されたら孤立するしかないという仕組み上の問題がある。だから守ってあげないといけない。
 かつての組合というのはそういう機能がありました。それが組合の本来の目的ではないけどね。

運営者 この県においては、3代前の白石知事の時代にそうしたものが徹底的に潰されてしまいましたからね。

東   「一応あることはあるよ」という形で、職員組合は残ったね。「すべて取り上げて縛ってゼロにする」というのは仕組み上まずいから、潰すのは簡単だけど形だけ生き長らえさせてもらっている。

運営者 民主主義のシステムを実効あらしめるため、あらゆる努力を傾ける必要があると思います。そしてそれが一人ひとりの問題であると意識して、みんなで立ち向かう必要があるのでしょうね。


(この項終わり)

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