仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

仙波敏郎 愛媛県警巡査部長に聞く「裏金告発の行方」


 

犯罪検挙率が微増しているカラクリ

愛媛県警巡査部長
仙波敏郎 氏  

運営者 仙波さんの態度に理解と共感を示す人は、「自分の属する社会はみんなのものである」という「パブリック」の意味が分かっている人です。逆に仙波さんを「組織の敵」とみなしている人は、パブリックの世界の中に勝手に利益集団を作って、税金を搾取し、将来世代の便益を犠牲にして自分たちの利得を図ろうとしている犯罪者なんです。
 市民社会というのは、市民一人ひとりが参加して支えるものです。もし犯罪があったらそれを予防したり告発するのは市民の務めです。公務員はもっと厳しくて告発義務があります。
 ところが面白いのは、捜査報償費という考え方は、「市民は銭をやらなければ何も言ってくれないだろう」という考え方に基づいています。まるっきり逆の発想なんですよね。それによって裏金が作られているというこの皮肉ですよ。

仙波  いや、逆じゃないですか。裏金が欲しいゆえにキャリアがそうした制度を考えたんでしょう。

運営者 そうです。そしてそれは、仙波さんがおっしゃる「市民の側に立つ」という考え方とまるっきり真逆の発想に立った視点から考えていることだと僕は思うんですねぇ。情けないことだと思います。

仙波  僕は24歳のときに裏金作りを拒否して署長に呼ばれた時、署長室でもうひとつ言ったことは、「こんなことをしていると市民の信頼を失って、犯罪検挙率が落ちますよ」ということでした。
 当時は検挙率が60%でした。それはもちろんかなりゲタを履かせた数字ではありますが。
 ところが今から4年前には、それが19%にまで落ちました。

運営者 そりゃすごい、民間企業だったらつぶれてますね。

仙波  テンプラっていうのは「上げる」ことなんですけど、それでゲタを履かせて19%です。それを僕は34年前に危惧していたんです。24歳の若輩でも、「検挙率が落ちないはずがない」と思っていましたから。
 警察がどうするかというと、犯罪発生件数を減らして検挙率が上がったことにするんです。それが証拠に検挙件数は減り続けていますから。数字のカラクリなんですよ、このところの検挙率の向上というのは。

運営者 芸がないですねぇ。だって犯罪発生件数がそんなに減るはずがないですよね。

仙波  毎年1割ずつ減らしてるんじゃないですか。それで検挙の方は毎年3%上げてますから、検挙率は30%くらいまで今は行ってます。
 それは警察としての無謬性がなければならないから、検挙率を上げなければならないということなのでしょうが、われわれにも誤りはあるんです。当たり前のことです。
 問題はミスした時に断りをして、訂正をして、2度と起こらないようにすることが大切だと思います。だけどそれを認めると、OBで勲章をもらった人が、勲章を返さなければならなくなるかもしれませんがね。

運営者 彼らはそれを一番恐れますからね。

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