仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

仙波敏郎 愛媛県警巡査部長に聞く「裏金告発の行方」

「警察は助けてくれる」という信頼を裏切ってよいのか

愛媛県警巡査部長
仙波敏郎 氏  

仙波  宇和島で起きた窃盗事件で冤罪をかけられ1年勾留された人がいるのですが、その事件のことが愛媛県警の警部の昇任試験に出たことがあるんです。「県警が誤認逮捕で1年と4日拘留したのに、県警が責任を問われないのはなぜか」という問題でした。

運営者 それは責任が問われないとおかしいですよ。問題の方がまちがってるじゃないですか!

仙波  それはそうなんだけど。
 その答えは「刑訴法の《被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由》があった以上、警察として対応するのは当然のことである。それにまだ判決は下りていない。判決の4日間に真犯人が捕まったので釈放したのであるからそれでよいのだ」。
 しかしこんなことを昇任試験に出すこと自体、いかがかと思いますけれどね。

運営者 民法や商法の世界では、信義誠実の原則とか忠実義務というのがあって、お金をもらってやる仕事である以上は、お客さんの不利益になることをやってはならないということになってるんです。これは最近ますます厳しくなっていて、食品偽装をするような企業の姿勢に対する世間の厳しい目などもその一端だと思います。
 どうやら話を聞いていると、警察の世界というのはそういうのが全くない世界だなという気がするのですが・・・。

仙波  まったくないでしょうね。さっき申し上げたように正義感というのが欠如してるんです。
だからそういう連中が、現場のトップの刑事課長をやっていて指揮できるはずがないです。

運営者 だけどその意識がそのままで放置されているのは、警察官の中には、「いざとなって困ったことがあったら、みんな警察に頼ってくるしかないだろう」というおごりがあるからのようですね。

仙波  裏金の告発をして以来、僕の所属する部署では酒の席はなくなりました。一度もありません。歓迎会も送別会も忘年会もやらなくなりました。それまでは飲み会の席では、警官が不祥事を起こしたような話題が出ると、必ず誰かが「何やかんや言うてものう、一般の県民は何かが起こったら警察に言うてくるしかないんよのう」という話が出るんです。それはそうでしょう。物を取られたからといって県庁や市役所には行きませんよね。
 「だけどそこには、警察に行ったら絶対助けてくれるという信頼がある。それを裏切ったらいかんだろう」と言うと、「どうしてか? 警察に行くしかないんだから。不満があっても、結局は警察に行くしかない」と他の連中は言うわけです。気にもしていない。

運営者 それは警察しかない理由は、2つ同じ機能を持つ役所を作ったら税金のムダだからですよ(笑)。 それに胡座をかいていてるわけだ。

b.pnga.png