仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

仙波敏郎 愛媛県警巡査部長に聞く「裏金告発の行方」




「マル特=組織不適合者」

愛媛県警巡査部長
仙波敏郎 氏  

運営者 それから、県警の尾行にはいつ気がつかれましたか?

仙波  これは平成17年1月、オンブズの会の弁護士たちにお話しした直後にさかのぼります。話が終わった後、前から決まっていた高校の同窓生の新年会に顔を出しましたすが、そこに同窓生ではない県議会議員が一人同席していました。
 僕は遅れて席についたのですが、みんな待っててくれたんですね。それで、遅れたお詫びというのもなんですが、盛り上げなくっちゃと考えましてね、それでその時「なぜ遅れたのか?」と聞かれて、「いや、何かオンブズの弁護士の先生に、警察の裏金のことを尋ねられて話をし、それを公表するかどうかについて聞かれていたんだ」と答えたんです。
 その時席の端っこに知らない人が座っているのに気がついて、幹事に聞いてみると「友人の県会議員だ」というので、「これはちょっとめったなことは言えないな」と思いました。
 後になってむこうから僕のところにあいさつに来て、弁護士との話の内容を聞きたがるので、「いやあ、裏金がどうとか聞かれましてね」と話すと、県会議員は「裏金はどこでもあることやけん。県庁にもあれば、県議会にもあることや。そういうのを表にするのはいかん」と言うんですよ。たしなめられましたね。

運営者 はー、立派な人ですねえ(笑)。

仙波  どうやらその人が県警本部に通報したということが後でわかったんですね。警察に貸しでも作るつもりじゃなかったんですかねー。尾行はおそらくその頃から始まっていたのかもしれません。ハッキリそうと分かったのはもう少し後のことですがね。

運営者 選挙違反摘発対策のために、県警に仙波さんを売ったんじゃないですか!

「マル特=組織不適合者」仙波  だけど、この県会議員は東君と知り合いで、彼が私の告発を止めようとして、東君を引っ張ってきてくれたんです。それまで僕は東君の存在すら知りませんでしたから。高校の同級生なんですけど、顔も形も知りませんでした。
 県会議員は、記者出身で県政をよく知っている東君を通して、告発をやめるように説得しようとしたんです。
 東君は僕を説得する気は全くなかったのですが、断りきれずにやってきて、はじめて知り合うんですね、こんなめぐり合わせもあるんですねー。それが縁で彼が支える会を引き受けてくれたわけですから。その県会議員がいなければ、事態はこのように進んでいなかったかもしれない。今この事件の話を何事もなかったかのように話すこともできなかったかもしれませんね。

運営者 縁は異なものですね。

仙波  だけど告発記者会見の日まで僕は、すでに「告発」の決意を固めていることを誰にも話すことはありませんでした。東君だけは僕の胸のうちを見抜いていましたね。

運営者 仙波さんは陰では「マル特=組織不適合者」って、言われているそうですね。

仙波  警察にとって「好ましからざる人間」と言う意味です。県議会議員の通報で県警は「異変」を察知したと思います。詳しいことは分からないまでも。でも、県警には僕に面と向かって、腹を割って話しかけることのできる人物はいなかった。ちょっと特異な存在でしたから、僕は。
 僕は裏金をつくっていませんから。だから僕に、そういう接し方のできる者はなかなかいないんです。腫れ物にさわるような状態だったかもわかりません。

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