仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

仙波敏郎 愛媛県警巡査部長に聞く「裏金告発の行方」

すべてが裏金に化ける「捜査費」の実態

愛媛県警巡査部長
仙波敏郎 氏  

仙波  告発記者会見からもう3年になりますが、この間、いろんな人が私にたずねるのは、「よく24歳のときに裏金をつくるための領収書作りを拒否したね」ということです。
 裏金づくりを告発した他府県の元警官たちでも、「とても自分は拒否できなかった」と言っています。弁護士の先生たちですら、「私が仙波さんの立場であれば領収書を書いてますね」というくらいですから。
 書かなければ、組織にはいられないですよ。

運営者 そうですね、僕なら、こう言うでしょう。「僕は領収書は書かないです。だけど組織は辞めます」。実際それに近いことがあって会社を辞めたんですけどね。

すべてが裏金に化ける「捜査費」の実態仙波  そこなんですけどね、僕には何の能力もないんです。ただ悪に対して立ち向かうのが僕の取り柄なんです。だから僕にとってはこの仕事をやめて他に何かしようという気持ちはありませんでした。警官という仕事が僕には合ってましたよね。僕は好きですよ、この仕事が。こんど生まれても警官になります。
 だから僕はこの仕事がやりたい。だけど大きな事件があっても中心的に関わることができない。関わらせてもらえないんです。捜査費が動くからですよ。僕がそういう立場で関わると、それが裏金化するカラクリを知られてしまう、だから上層部は僕の昇任を認めない。

運営者 捜査費については、どんな感じだと考えればいいのでしょうか。

仙波  強盗事件などの大きな事件が仮に起きたとしましょうか。捜査本部ができますよね。多額の捜査費が捜査本部の置かれた警察署の口座に振り込まれるんです。600万円振り込まれたとしますか。そのお金を会計課長がキャッシュで引き降ろします。それでレンタカーを借りたり、張り込み場所を借りたり、職員の深夜の弁当代などを出すわけです。
 そのためのお金なのですが、お金を下ろした瞬間にその半分の300万円は県警本部の捜査一課に上納されると聞いていますね、僕は。本部にバックされた金は、本部の裏金になってしまう。そうすると、600万円分の領収書はその警察署でつくらなければなりません。

運営者 そうですよね。

仙波  だけどもうすでに300万円はないんです。残りの300万円のうち、どうしても必要な経費は、もちろん使います。だけどその中から署長が100万円抜いたり、課長が30万円抜いたりするということがあって、600万円のほとんどは捜査に使われないで、消えてしまう。そういう実体があるんですよ。

運営者 はぁ??? じゃあ捜査費ってなんなんですか?

仙波  だから事件が解決しないんですよ。
 捜査費が裏金に化けて捜査のためには使われない。その一方、現場の捜査員は、自分の車を使うなど、自腹を切って捜査に当たるしかない。アホらしくってやっていられない。事件があっても、捜査員はパチンコ屋に行ってパチンコやっていますよ。意欲をなくしてしまっている。

運営者 そういうことになるのかもしれませんね。

仙波  必要な金が現場に下りてこない。自腹を切るくらいならパチンコでもやっていた方がましだということですよ。そう考える警察官が増えるのはある意味、当然の成り行きでしょう。
 パチンコ屋で時間つぶしをしている捜査員が多いというのは高知県の特別監査でも指摘されていますよね。

運営者 驚くべきお話ですね。

仙波  いえ、これは普通の話、珍しいことではない。捜査費の使われ方について各県警で明らかになったことのひとつは、捜査協力者に謝礼を支払ったことになっているはずが、そういう実体はなかったということですよね。
 僕の知る限り、捜査に協力して、お金を受け取った人は一人もいませんね。全て、でたらめですよ。警察官・職員が領収書を偽造しているんですから当然ですよね。

運営者 ・・・。

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