仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

仙波敏郎 愛媛県警巡査部長に聞く「裏金告発の行方」

全国でただ一人、35年間巡査部長の男

愛媛県警巡査部長
仙波敏郎 氏  


運営者 今日これから仙波さんに伺うのは、愛媛県警における裏金づくりの問題と、仙波さんが行った告発に関することについてです。決していたずらに愛媛県警の信用を失墜させることを目的とするものではありませんし、私にもそのような認識はありません。

仙波  僕も、私が知りえた不正の事実以外についてお話しするつもりはありません。

運営者 愛媛県警においては領収書の偽造による裏金づくりが組織的に行われてきたわけですが、これは有印私文書偽造・同行使であり、虚偽公文書作成であり、詐欺であり背任であり業務上横領にあたるわけです。これらは刑事罰が適用される犯罪です。そしておそらくは申告もしていないでしょうから大規模な脱税でもあるでしょう。
 こうしたことが県警の中で組織的に行われていたということを、仙波さんは平成17年の1月20日に記者会見で告発しました。現役の警察官が告発するというのは全国でも唯一のケースでした。
 しかも驚くべきことに、「領収書を偽造しなければ昇進もさせない」ということで、昇進と裏金作りがセットになっているというのは、多かれ少なかれ全国の役所の組織では裏金づくりはあるとは思うのですが、愛媛県警のケースははなはだしい事例だと思うんです。

全国でただ一人、35年間巡査部長の男仙波  愛媛県警が最も「特殊」なのかどうかということについて、僕は答えることはできません。都道府県警の全てを知っているわけではありませんから。ただ、こういう体験をしたことは事実なのです。
 僕は巡査部長になり、その後次の階級である警部補試験を受けました。そのとき、当時の上司から、学科試験の成績は問題ないが、「お前は領収書を書いていないから昇進できない」と上司にはっきり言われたわけです。
 警察には、捜査費とか捜査報償費と呼ばれる公費がありまして、これは主として捜査に協力した市民に支払う謝礼ということになっていますが、警察官や職員が協力者に成りすまして領収書を偽造して公金を裏金に変える典型的な不正行為の手段なわけです。上司が「お前は書いていない」と言ったのはこの偽造領収書のことなのです。その後も同じような体験をしています。
 それを書かない僕は昇進できないというわけですよ。そういう主張を僕がしますと、県警側は「では領収書を書いたものは全員昇進しているか」と反論するわけですよ。
 これは一種のゴマカシですよ。学科試験に受からなければ、いくら領収書を書いてもトントン拍子に昇進するわけではありません。しかし、長く勤めていれば、最低限の昇進はできるわけです。40代で巡査部長。50代で警部補。形だけですが退職するときには警部にさせてもらえるというのが普通の姿です。
 僕は、ずっと巡査部長のままに据え置かれてきました。僕は例外的な存在なのです。「少なくとも領収書を書かないものは昇進することができない」ということ、それは動かすことのできない事実なのです。

運営者 仙波さんは県下でも屈指の進学校である松山東高校卒業後、警察学校に一番の成績で入学し、初任補修科を一番で卒業して配属され、24歳で調査部長に昇進。これは同期でもトップクラスの早さだった。その後三島警察署に配属され、そこで初めて領収書の偽造を命じられ、それを拒否したために9カ月後に駐在勤務を命じられた。
 その後35年間巡査部長のままであり、これは全国一長い巡査部長在任の記録なのだそうですね。

仙波  その体験から、僕は昇進の夢を棄てました。だから、結果としてそうなってしまったのです。本庁でお調べいただければその通りであることがお分かりになるはずです。

運営者 これは極めて異常なことだと思います。
 それで平成16年、知り合いのオンブズえひめの弁護士さんが、大洲署で捜査協力者のニセ領収書が使われたという匿名の告発について調べているときに、県警が疑惑隠し、監査妨害を行って困り果てていたわけですが、平成16年の11月にたまたま県警の入り口で仙波さんとばったり会われたわけですね。それが運命的な出会いになる・・・。

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