仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

仙波敏郎 愛媛県警巡査部長に聞く「裏金告発の行方」

東玲治氏の遺言


岡本呻也

 東さんはあまりにも突然逝かれたので、遺言というのがないと思うのですが、実は僕は7月に裁判の傍聴に来たときに、国賠訴訟の判決の見通しについて東さんに伺って、僕のホームページに載せています。結果はバッチリ当たっているのですが、その中で東さんのおっしゃっていたことが遺言に近いかなと思うので、この場でご紹介申し上げたいと思います。

 ひとつは、二宮義晴刑事部長の刑事告訴です。
東玲治 刑事部長という県警のNO.3、ノンキャリのトップが裁判で尋問されてのらくら逃げ回っている姿を見て、とっても恥ずかしい姿だなと僕は思ったのですが、彼は裁判で「仮名で警察官が作成する支払い精算報告書は虚偽公文書作成行使という罪になりませんか? 虚偽公文書作成行使の成立要件に欠けるものが何かありますか?」と聞かれて、答えることができませんでした。事実上、彼は虚偽の領収証を愛媛県警が作り続けてきたということを認めたんです。自分の刑事責任を自白したのと同じです。これについて刑事部長を刑事告発せよということです。
 刑事部長が不正を行っていたという実態が明らかになっていて、それは不正のすべてではないけれど、まさに不正の実態を象徴することなのです。だから検察庁に刑事告発をすべきだと東さんは主張しています。
 おそらく告発しても棚ざらしされて起訴猶予で終わりになると思います。しかし東さんは現職の刑事部長がこれについて告発されることが重要なのだと、非常に強くおっしゃっていました。

 それから2番目に彼が期待していたのは、仙波さんは警察の裏金の問題を鋭くつきました。そして判決もほぼ東さんが見通した通りになりました。しかし、東さんは
 僕は客観的に考えて、高裁判決で「仙波さんが勝ったらしい」ということはみんなの記憶の底にはとどまるだろうけれど、そうやって歴史の事実になっていくということです。これは貴重なことではあります。
警察はこのままではやがて立ちゆかなくなるでしょう。世間から囂々たる非難を浴びるような事態が来るはずです。
警察がもっとどうしようもない事態に立ち至ったときに、先達である松橋忠光さんや、原田宏二さんや、最新の事例である仙波君のやったことは正しかったのだということを思い知ることになるでしょう。
 と言っています。

 そしてこの先、警察の裏金追求を続けるため必要なのは、決定的な事実の提示であるとおっしゃっていました。裏金の有無についての決定的な証拠や証言のことですね。
 とにかく僕は、仙波君の行動や、高裁判決に触発されて取材力のあるジャーナリストが決定的な証拠を探してみんなの前に突きつけてくれることを期待します。
 東さんはそのようなジャーナリストの登場を望んでいました。またジャーナリストだけではなくて、勇気を持って告発する正義の警察官、仙波さんの後に続く人が出てこなければならないでしょう。

 僕は悲観はしていません。この件では、仙波さんが勇気をもって切り開いた道を、東さんや弁護団の皆さん、この場にいる皆さんが後押しして、一定の成果を上げることができました。まったく傲岸不遜な県警や県が、権力にモノを言わせて好き勝手をやることは許されなかったのです。「赤信号みんなで渡れば怖くない」とばかりに不正の片棒をかついで、裏金づくりに精を出し、偉くなって裏金をもらう立場に回って家を建てるのがよいのだと思っている人ばかりではないということが事実として残ったわけですから。
 僕は仙波さんや東さんに続く人たちが、愛媛県だけでなく、他の県でも出てくるに違いないと思っています。

東玲治の墓 そのためには、仙波さんや東さんがやってきたことを、さらに続ける必要があると思います。
 東さんは志半ばで逝ってしまわれたわけですが、僕自身は伝え手として、この問題にかかわり続けたいと思っています。年間200億円もの税金が、しかも正義を守るべき警察官たちによって横領され続けているなんて、いったいどこの未開国かと。こんなことは放置するわけにはいかないと思います。

 今後もこの闘いを続ける決意を東さんに申し上げて、東さんを悼む言葉とさせていただきたいと思います。皆さん長々とご静聴いただきまして、たいへんありがとうございました。


(この項終わり)

b.pnga.png