仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

仙波敏郎 愛媛県警巡査部長に聞く「裏金告発の行方」

すべてを見通すことができた「賢人」


岡本呻也

 皆さんはじめまして。岡本呻也と申します。たぶん法廷でお目にかかった方も多いと思います。
 私はすでに、東京に住んでいる時間のほうが、松山で過ごした時間よりも長くなってしまったのですが、実家はJR松山駅のすぐ近くにありまして、仙波さんがお勤めの鉄道警察隊とは数百メートルしか離れていないんです。ところが、お恥ずかしい話ですが、仙波さんと東さんのことについては、つい最近まで全く知りませんでした。初めてお二方にお目にかかったのは、07年の1月5日のことでした。

東玲治東玲治 その後、最後に東さんからお電話をいただいてお話しをしたのが、7月末だったんです。ですので、東さんとはたった7カ月間のお付き合いでしかありませんでした。ここには、弁護団の先生方をはじめとして、東さんとお付き合いの長かった皆さんが大勢おられるわけでして、私なんかがお話しするよりも東さんについて語るのにふさわしい皆さんばかりだと思うんです。
 ですから、私が東さんについてお話しさせていただいたのでよろしいのかなとも思うのですが、じつは仙波さんから、「告発四周年記念の集会で講演してほしい」というお電話をいただいたときに、僕は喉のところまで、「東さんのことについてお話しさせていただきたい」と言葉が出かかったのですが、やはりお話しをする側の人間がテーマについて注文するのはよくないことなので、その言葉を飲み込みました。そしたら、その後すぐ仙波さんが、「東さんのことについて話してほしいのですが」とおっしゃったので、とってもうれしかったんです。ほんとにうれしかった。

 それはどうしてかというと、僕は東さんのような人にずっとお目にかかりたかったからなんです。四十何年間生きて、初めて「ああ、やっと望んでいた人に会えたな」と思っていたんです。
 その東さんがお持ちの美点についてお話ししたいのですが、彼はとにかく物事を見通す卓越した力を持っていました。すべてを見通すことができた「賢人」だったんです。
 仙波裁判の各判決や、裁判の帰結についても、非常に的確に予見する見識を持っていて、すべて見事に当ててきました。なぜそれができるのか。東さんは、裁判だけではなくて、ジャーナリストとしての経験から、愛媛県の政治経済社会の構造がどうなっているのか、どこを押せばどこが出て、どこが引っ込むのかについてすべてを知悉する高い見識に至っていたと私は思います。それを延長すれば、中央のことも見通せるんです。
 ジャーナリストとして、最もレベルの高いところにいらっしゃった人だと思います。

 僕は、「プレジデント」という雑誌の編集をやっていた人間で、少しはジャーナリズムの世界もかじっていますから、そういう東さんのような先達を求めていたんです。
 東京で、とにかくそういう人を探しました。だけどなかなかいない、あるいはもう引退されている。まさか松山、この地に、そういう人がいらっしゃるとは、東さんにお目にかかって、もの凄い驚きでした。
 そして、楽しみでもありました。これから帰るたびに東さんや仙波さんに会える、お話を聞くことができるということは。残念ながらそれは、かなわぬことになってしまったんですが・・・。

 今日私がお話ししたいのは、東さんがジャーナリストとしていかに優れた人物であったかということについてなんです。
 ジャーナリズムとは、民主主義社会を支えるために必要な機能です。そのためにジャーナリストが必要である。しかしいま日本のメディア、新聞社やテレビ局に入っても、教育なんかないんです。アメリカだったら、大学院にジャーナリズム学科があるんですけどね。だからジャーナリズムとは何かについて、自分で勉強するしかありません。かなりいい加減で、あいまいな規範でやってるのが実情です。ですから日本人で、東さんのレベルまで達することができるジャーナリストはそんなに多くないと私は評価しています。
 ジャーナリストを、目指す人のための教材として、東さんの優れた点についてお話ししておくことは意味があると思うんです。

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