「追求するべき価値」自体を創造する仕事

桜内ふみき氏 氏  


運営者 ところで話はがらりと変わるのですが、僕、桜内さんがすごくうらやましいなと思ったことがあって、それは奥さんについてなんですけど、結婚される前に神楽坂で2人で呑んだじゃないですか、その時に奥さんの話を伺って、「なんてできた女性なんだろう!」と思って、ほんと感動したんですよ。
 すると思い出すのがね、「アンタッチャブル」という映画があって、有楽町のマリオンの上に観に行ったんですけど、ケヴィン・コスナーがエリオット・ネスをやっててね、相方のショーン・コネリーが繰り返すセリフで、「結婚てえのはいいもんだ」というのがあるんですよ。まさにあれですね、私の脳裏をよぎったのは。

桜内  その映画、僕もマリオンで観ましたよ。

運営者 それは偶然ですね。監督のブライアン・デ・パルマは、エイゼンシュタインやヒッチコックのパロディを織り込んでいて、サービスたっぷりの非常に見応えのある映画でした。
 彼らは確か財務省の特別捜査官で、アル・カポネの脱税を摘発することによって税金の不平等感をただすという正義感に基づいて過酷な職務に従事し、殉職したりするわけですが。
 桜内さんは、まさに大蔵省にいらっしゃったし、僕は雑誌で切った張ったをやっていた。
 その時代は、ネスのように直接影響力を行使する立場にあったわけですが、われわれ2人ともそういう立場からは離れましたよね。しかしにもかかわらず、われわれは「今自分がやっていることの方が、当時よりも意味がある、価値がある、正当性があることである」と確信し続けていて、常に困難に挑戦し続けられるのは一体なぜなんだろうと思いませんか。

「追求するべき価値」自体を創造する仕事

桜内  「アンタッチャブル」の世界で、自分が直接影響力を行使するというのも大切な仕事だと思うんです。だけど僕が今、公会計の世界でやっているのは「制度設計」なんです。
 「アンタッチャブル」の世界で殉職するショーン・コネリーとかが追及している正義、それ自体の「基準」を作っているわけです。当時の僕は、与えられた基準の中で正義を追及していく立場だったのですが、いまは正義の基準を作っている、「追求するべき価値はこんなものではないだろうか」ということを自分で作っているわけですから。

運営者 それはよくわかります。その結果として桜内さんが今回作られた公会計基準は、国や世代を超え、適用することができる価値を持つ相当レベルの高いものになっていると私は評価しています。

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