自分の生活しか考えないから社会がだめになっちゃう

桜内ふみき 氏  

 

運営者 外務省では、「北朝鮮との外交交渉は田中真紀子大臣には知らせるな」と言っていたわけですから、これはもう違法性があると思いますけどね。国家行政組織法には「各大臣、各委員会の委員長及び各庁の長官は、その機関の事務を統括し、職員の服務について、これを統督する」とあるじゃないですか。

桜内  議院内閣制を採用しているイギリスの役人にね、「あなたのカスタマーは誰ですか?」と尋ねると、「大臣です」と答えますよ。つまりイギリスの役人は、大臣に向かって仕事をしているわけです。
 それと同じことを日本の役人に答えると、国民と答えるでしょう。それは逆に、具体的なミッション・ステートメントがないということではないでしょうか。

運営者 なるほど。そういえばアメリカの閣僚も「セクレタリー」ですもんね。ありゃあ、大統領の秘書なんだろうなあー。

桜内  役人は、「国民のため」という至極きれいな言葉で、結局、国民に選ばれた大臣の意向に反することまでもやってしまうわけです。「国民のため」と言いながら、実際のところが自分の利益を追っているということがあります。



運営者 では、役人は本当のところはだれを見て仕事しているんでしょうかね。

桜内  今の状態だと、事務次官でしょうね。
 
運営者 なるほどー。「次官=労組委員長説」ですね。役所の幹部たる者としては、「みんなの天下り先のポストをどのように確保するか」ということが最重要の仕事となってしまうわけですね。確かにそれだと、利己心を追求していても一時的には先輩の天下り先を増やすためにやってるんだから、罪の意識も薄らぐというわけですな。「情けは人のためならず」。

桜内  もちろん、その努力というのは、役人にしてみれば「自分の生活を保障してくれる役所のために仕事をしているのだ」ということがありますから、自然と言えば自然でしょう。だけど現在の日本政府が置かれている財政状況を考えると、「なぜ役所の意思決定がこちらの方向に流れていくんだろうか」と不思議に思うこともあります。
 でも結局、先程おっしゃった次官=労組委員長という仮定を置いて考えてみると、いろいろな話の辻褄が合うような気がするわけです。

運営者 役人が外郭団体や民間に天下りすることが、国民の利益に沿っているのであれば、それでもいいのかなという気がしますが。

桜内  今まではそうだったなと思いますよ。「まず役所に入って国のために働いて、最後はそこで得た知恵を民間のために使いましょう」ということだったのでしょう。

運営者 銀行も全く同じですよね。銀行で働いて、最後は融資先の企業に天下り。銀行は大蔵省の出張所だったわけですから、やってることは大蔵省と一緒ですな。ちゃんと経営してないから、自分たちの天下り先が減ってしまったわけですが。
 民間企業の経営者も全く同じで、株主のことなど考えず、自分の生活のことしか考えていないから会社がだめになっちゃうんです。

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