「責任を不明確にしておく」というのがポイント

桜内ふみき 氏  


運営者 そうそう、ちょっと公会計から脱線しますが、それで面白いことを思い出したんだけど、「オープンソース」という考え方は日本企業には絶対にありえないことなんです。「全部自社の中で最初から最後まで製品を作ることができなければならない」という文化がある。だからリナックスなんて考えられないですよ。
 それどころか、マイクロソフトみたいにOSだけに特化した企業戦略などというのも想像の外だったでしょうね。
 つまり「なんでもかんでも自分のまわりに集めてしまう」中央集権をよしとする文化があるわけです。とにかく集められるだけ資源をかき集めて、シェア争いをして会社を大きくしていく。自分たちのピラミッドを大きくしていくことしか考えていなかった。
 そうやって日本全体が大きなピラミッドになっていった。その頂点にある大蔵省の主計局や大臣官房にいれば、「世の中で動かせないものはない」という感覚すらあったと思うんですよ。まさに桜内さんがいらっしゃったところですけどね。
 だからそこにある目標は部分最適の追求でしかなかったし、ましてやそこで積み重ねてきた知識やノウハウを外部に出すなどということは、組織のロジックからして全く逆行しているわけです。したがって「ソースコードをオープンにして、他のパートナーを求めよう」などという考え方は、日本の組織にはそもそもあり得ないわけです。

桜内  役人の立場としては、「役所や個々の役人の責任を不明確にしておく」というのがポイントなんです。基本的には役所には責任はないはずなんです。責任を取らなくていいようにもっていくことができるのが、いい役人だと評価されていたように思います。
 それから、仕事の上で新機軸を打ち出すというのは、評価されないですね。

運営者 そうでしょうねえ。「新しいことはやっちゃいけない」という文化でしょうから。

桜内  何事にも「何がプラスで、何がマイナスか」という価値評価の軸があるはずですよね。
 ところが現代の役人にとっては、最初にやるべきことというのは「共同体の一員として、共同体をどのように守るのか」ということなんです。言葉の上では「国民のため」と言えても、最後はそういうことではなかったような気がしますね。

「責任を不明確にしておく」というのがポイント

運営者 そうすると、そうした中で役人の「責任」というのは?

桜内  責任というのは、ポストをとられてしまうことだと思うんです。本来であればクビにするべきなんでしょうけど、クビにはできませんからね。

運営者 公務員は法律上、身分が保障されていますからね。

桜内  それはなぜかというと、公務員には「公正中立」に行政を執行することが求められているから身分保障されているわけです。

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