あくまで独立して行政府の不正を追及する米議会

中林美恵子氏


 運営者 日本では、例えば役所の不祥事があったときに、すでに警察が動いていれば、与党の議会運営担当者とか官房長官が「それはすでに司法が動いていますから」という理由でシカトするし、国会の方も「そういうことなのか」ということで追及を打ち切ってしまいます。これっておかしいと僕は思うんですけどね。なぜ国会が検察とか司法に遠慮しなければならないでしょうかね。国権の最高機関なのに。

 中林  そうですね、少なくともアメリカでは違いますね。ウォーターゲート事件、イランコントラ事件、ロッキード事件、ホワイトウォーター事件、クリントン大統領弾劾裁判などを見てもわかるように、議会は行政府や警察、司法府とは別に疑惑解明をしますよ。ほとんど対抗して解明活動をします。

 運営者 また対抗しなければならないんだと思うんです。

 中林  クリントン大統領の弾劾裁判も、上院本会議場で審議されました。

 運営者 あの時に、スターというおじさんがやっていたのはなんですか。

 中林  あれは議会が設立した特別な独立検察官です。彼は議会から予算をもらってクリントンの偽証罪を捜査したわけです。


 運営者 考えてみれば議会は何でもできるわけですよね、自分で法律を作ればいいんだから。

 中林  独裁者にこの権限を独り占めされたら、それこそ大変なことになりますね。しかし議会内での権力は各委員会に分散されているし、選挙で簡単に人員を交代させられるし、政党の競争も激しいですからその心配はありません。行政府の人間に疑惑があれば、議会は腐敗を暴かなければならないし、国民はそれを見て「議会もそれなりにちゃんと仕事しているな」と安心できるわけです。

 運営者 しかしですね、日本でもここのところ参考人招致とか証人喚問とか随分やってるわけですが、露骨な証言拒否に近い感じでおざなりに答えている人もいて、しかもそれに対してそれ以上の追及ができていないというケースをよく見るわけです。
 いま多くの国民は、「国会は証人喚問をもってしても国政調査の機能が不十分なのではないのか」と思っていますよ。何もできないのが国会なのではないのかと。
 そうすると、アメリカの議会にあって、日本の議会に欠けているものってなんですかね。

 中林  システムとしては、疑惑を追及するためにインベスティゲイティング・コミッティーを随時設立できること、それに必要な法整備も歳出も議会が自ら即座に行えること、また強制的に証人を喚問した時、そこでウソをついたら偽証罪を問うことができること、などです。
 ただしケン・スターが任命された時のように、疑惑追及のための組織を新しく設立するには大きな財源が要りますから、国民から見て税金の無駄遣いと取れるような結果に終わると、次の選挙で大変不利になります。

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