大統領の拒否権と議会の立法権のせめぎ合い

中林美恵子氏


 運営者 議員の倫理観は高く保たれてると思われますか。

 中林  実際に彼ら全員が高い倫理観を持っているとは思わないし、抜け穴があればいくらでも抜けようとします。
 それから地元の土建業者と結託して便宜供与しようとするような議員も中にはいます。

 運営者 それは日本ではごく一般的なことですが(笑)。

 中林  法の抜け穴はすり抜けられますが、土建業者と結託しての違法行為が疑惑となれば、議会のなかでも疑惑解明の公聴会を開いたりします。

 運営者 それから、議員は地元の利益だけでなく、ちゃんと国益を考えているかという問題なんですが。「国益」という概念は広く認識されているでしょうか。

 中林  もちろんです。委員会で審議することは国民全体の利益のためという前提です。個人事務所での議員の立場と同じスタンスであってはなりません。

 運営者 しかし国益というのは人によって認識が違うのではないかと思うんですが、その方向性は一致しているものでしょうかね。

 中林  例えば財政均衡というのは、やはり国益として認識されていましたね。国としての優先順位を決めましょうということでした。
 ただ議会自体は、大統領府に比べて非常に了見が狭いというか、やはり自分の選挙区の利益に走りがちになります。一方で大統領は拒否権を持っていて、自分が信じる国益の概念に反する法案が議会を通過してきたら、それを否定するのも国を運営する手段であるとの責任感を持っていますね。大統領も選挙で選ばれているわけですから、選挙を通して自分の信じる国益の概念は国民に承認されているという自負を持っています。
 かといって大統領は絶対ではありません。大統領が予算教書を出してきても、それは単なるリクエストです。歳出法案という形で議会を通過しなければ立法しません。予算の内訳をどうするかも議員が、つまり議会側が責任を持っています。それを大統領も当然認識していますから、議会ロビーというのは大統領府にとって非常に重要なことなのです。大統領の拒否権と議会の立法権限、この二つがあるために、両府は主張をすりあわせ、国家の運営をしていかなければなりません。

 運営者 そうすると、行政府に対する監視、国政調査権の問題なんですが、議会はどういう形でチェックを行っていますか。

 中林  ひとつはGAOがありますね。それから委員会が各自調査をする権限と、行政監督責任を持っています。

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