公聴会は「国民の前での勉強会」

中林美恵子氏


 中林  常にあちこちで頻繁に公聴会を開く準備を心配していますから、いい案のある人やいい意見を持っている人をいつも探しています。参考人として証言してもらうのに必要なのです。

 公聴会を開くほどのことでなくても、知りたいことがあればスタッフを集めて内部の人間が参加する勉強会も行われます。もし「ここだけでは勿体ないから、興味のある人みんなに聞いてもらおう」ということになれば、他のオフィスのスタッフも招待して、たとえば、行政府スタッフが議会に来てブリーフィングするのに関係者を集めることもあれば、民間側からの説明を皆で聞くこともあります。そしてまた聞く側も、共和党だけのスタッフのこともあれば、共和党と民主党両方のスタッフが一緒に聞いていることもあります。
 そんな勉強会もその場限りで終わってしまうことも結構あります。だってスタッフも議会もあまり時間がないですからね。しかし「本当に法案として取り上げましょう」というところまでくるとしたら、公聴会を開いて国民の前で勉強会をするのが必須です。

 委員会ではマジョリティが権限を持っていますから、マジョリティ側にかなりロビイングしなければなりません。公聴会も、委員長の名前で日時を決めて、証言くださる参考人を決めて、開くことのできるものです。
 そういう作業自体はもちろん陰でスタッフが行います。公聴会では一般の人たちも予約を取ることなく、簡単に入って話を聞けますし、C-SPANを始めテレビでも放送されます。ですから文字どおりオープンな公聴会です。
 スタッフは公聴会のためによく勉強して、「反対意見にはこのようなものがある」というようなバックグラウンドのチェックも行います。
 予算委員会の場合であれば、民主党12人、共和党11人の委員たちに対して、懸案事項のバックグラウンドと可能な質問、想定される答えなどを載せた委員会オリジナルのブリーフィングブックや資料集をつくります。委員会スタッフは自分の党側の議員だけにこれらを配ります。そのような準備に従って開かれた公聴会はし、質疑応答も含めて公文書として印刷され残されます。
 知識人として公聴会に呼ばれるということは公文書にも名前や意見が残ることなので名誉でもあります。

 公聴会ではもし議員たちのコンセンサスとして「法案化するのが適当だ」ということになれば、そのよう方向で委員会での立法プロセスがスタートします。最終的に本会議でそれが法案化されることも、委員会レベルまで通過したものなら可能性が高いといえます。

 運営者 公聴会が開かれる理由というのは、どのようなことが多いのでしょうか。

 中林  アメリカの議会も時間がなくて忙しいんですよ。毎年の予算だけだって手いっぱいなほどです。ですから「これは時間をかけてもやる価値がある」という法案しか委員会では注目されませんが、しかしそういうものであれば少なくとも公聴会を準備しなければなりません。
 また公聴会が法案を作成する一段階という理由以外で開催されることも往々にしてあります。それは社会に大きな問題や疑問が発生したとき、たとえばエンロンの会計問題や一般企業倫理問題とか、ヨーロッパ通貨統合におけるアメリカへの影響だとか、行政府を監督するうえでのヒヤリングだとかという機会を捉えてのタイムリーなものが多いです。

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