シンクタンクは人材プール

中林美恵子氏


 運営者 そういう受け皿を支えているカネはどこから出てるんですかね。

 中林  大学などの運営費用はまた別として、シンクタンクの場合は、創立者などによる多額寄付金を基に運営される基金が大きな資金源となることが多いです。またプロジェクト・ベースの寄附金や活動収益も大事です。ただ論文や研究結果の出版による収益などは、寄付金に比べたら小さいと思います。政策の本はベストセラーというわけにはアメリカでもなかなかいきませんので。

 運営者 金持ちや企業がシンクタンクに資金を出す目的は何ですかね。

 中林  実は税制の要因が最も大きいと思います。寄附も非常に簡単な手続きでできますし、自分の名前を冠した基金を作っても免税対象です。また一般の人々にとっては、免税が煩雑なペパーワークを増やすようであっては、「寄付しよう」という意欲さえ削ぎますので、免税申請作業が日常生活において特に余計な作業にならないことがキーです。
 それから企業にとっては、シンクタンクの特定プロジェクトに寄付することによって何か良い研究結果を期待することもあります。シンクタンクというのは必ずしも真に中立ではなく、それぞれの独立した信念と軸をもって運営されていますから、場合によっては企業の興味の程が反映される研究結果が出るプロジェクトもあるでしょう。またシンクタンクは一企業の付属機関では決してありませんから、社会的には研究の信憑性はより高いと見なされ、寄付のし甲斐はあるというものです。

 運営者 シンクタンクから法案が出ることもあると先ほどおっしゃってましたよね。

 中林  そういう能力を持つシンクタンクからは法案のアイディアが出てくることがあります。ただし、誰か議員を上手に説得して議会に提出してもらっても、それがそのまま本会議を通過するということはまず絶対にないですけれどね。ただ、良いアイディアであれば必ず聞く耳を持たれますし、法案とまではいかずとも修正案など別個の小さなアイディアの形で反映されるケースは往々にしてあります。

 運営者 そうそう、その「良い案」という話ですが、それが「良い案である」というみんなの共通認識ができなければ、それは画に描いたモチでしかないわけですよ。そこには価値判断があるわけです。だからそういう認識をアメリカの議会では作ることができるんでしょうかね?
 それともうひとつ、日本ではもし良い案であったとしてもそれは普通、取り上げられないわけですよ。良い案というのは、真っ先に潰すべき対象です(笑)。だから2つの理由で不思議なんですけれどね。

 中林  良い悪いという判断は、議員の能力や立場によりけりです。だから案を持ち込む場合は、どの議員を通して提案してもらうかを絞らなければ、たぶん日の目を見ることもないでしょう。

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