キャピトル・ヒルの国家公務員に地位安泰はない

中林美恵子氏


 運営者 しかし僕は、アメリカの議会や政府に入る人であれば、「自分は共和党の政策を実現するために政府機関に入って仕事をしたいな」という志望動機でも構わないと思うんですよ。共和党と民主党の政策対立に従って問題の区分けがきれいにできているのであればね。
 つまり社会的に必要とされる対立軸がきちんとわかっているということです。そうなっていれば、その中で国民に判断材料を与えていって、どちらの政党に政柄を執らせるかを選択させることができるわけですから。

 中林  政権が変われば、大統領府の中も政治指名のスタッフが総入れ替えになりますよね。
 同様に、議会の中でもマジョリティ(多数党)とマイノリティー(少数党)という地位があるから、マジョリティになれば委員会の委員長を総取りできるわけです。本会議の院内総務も取れちゃいます。委員長になれば委員会の3分の2の予算を取ることが可能です。そうすると人員を増やすことができます。逆にマイノリティーになると、予算が減らされるかスタッフの給料をカットしなければならないという事態に陥ります。選挙いかんによっては、立法スタッフはクビになったり給料を減らされたりするわけです。
 ですから国家公務員であっても、給料が絶対に安定しているという約束はあり得ないし、責任と権力のある地位であればあるほど職の安定は確約できません。選挙の結果によって委員長が入れ替えになれば、その委員長が自分の理念をより強力に推進してくれる別の豪腕スタッフたちを連れてくることがあるわけですから。

 だから選挙の結果によって、人が沈滞しないで風通しが良くなるような、そういう仕組みになっているんです。その理屈もはっきりしています。
 しかし一方で、スタッフ同志の世界は意外に狭いものがあります。長年キャピトル・ヒルで働いていると、ホワイトハウスにも議会にも元同僚が散らばっていることに気がつきます。元同僚たちはホワイトハウスのスタッフに転身したかと思えば、また議会に戻ってくることもある。「はー、コイツはここまで行ったんだなあ」ということはみんな知っています。その中でスタッフでありながら、ある程度の地位を徐々に築いていくわけです。

 運営者 行政府の、ポリティカル・アポインティの人材というのはどこから供給されていますか。

 中林  学会とか、政策シンクタンクをはじめとする、政策に明るい人たちですね。

 運営者 シンクタンクが充実しているということは、前の政権にいた人たちがそこに転がり込んでくるからですね。

 中林  要するに、人材をプールできる場所がそれなんです。そういう受け皿がシステムとしてあります。

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