審議の過程では、やっぱり根回しが勝負

中林美恵子氏


 運営者 議員が、これは自分がやる意味がある」と判断した後、彼はどのように動きますか。

 中林  個人事務所のスタッフか、歳出委員会のメンバーになっている議員ならそこのスタッフに、「こういう陳情が来ているから、これをやりなさい」と言うだけですね。自分でコンピューターを叩いて法案や修正案を書いたりすることは、まずありません。
 その後、すでに土台となる法案が委員会にかかっていれば、スタッフが議員達の集まるマークアップの場で修正案を簡単に表記してコピーして議員や他のスタッフ配り、「こんな感じの修正をしたい」という意思表示をします。またはマークアップの事前に委員会スタッフにコンタクトを取って、根回しをします。委員会での修正作業が不成功に終わった場合は、本会議で直接議員が修正案を提出することもできます。
 こうした一連の作業は、議員が自分で選んだスタッフによって行われます。ですから議員としては、経験が豊富で有能なスタッフには、他のオフィスに逃げられない為にも、しっかりと高額の給料を割り振ります。

 運営者 で、法案が提案されたとして、審議が行われるわけですよね。それはどんな感じですか。

 中林  歳出の伴う法案の場合、財源があるかどうかは大事なポイントです。それは事前に予算委員会や歳出委員会のスタッフとやりとりしていれば、本会議でどのような議論になりそうか予測はつきます。
 既に本会議で審議段階にある法案に修正案をつける場合、そのプログラムなり何なりの追加によって不利益を被る人がたくさんある場合は反対が起こることもあります。しかし特定の地域にほんの少しだけのお金がいく修正案なら、「得をする人々は少数あっても大多数がマイナスになって損をする」という構図にはならないので、大きな反対は通常起こりません。小さな歳出を伴う修正案の場合、歳出委員長が全体の歳出枠の中に上手に組み込めるかどうかで「うん」と言うかどうかが一種のハードルとなります。だから日頃から歳出委員長にこびを売っておくことは大変重要なことです。

 ところで、本会議前の委員会レベルでもマークアップの段階でも、修正案を認めるか認ないかについて投票を行います。委員会で駄目なら本会議で直接修正案を出す手もありますが、その場合も法案審議のマネジメントを行う院内総務やその下のスタッフたちとの根回しがうまくいけば物事はスムーズに進みやすくなります。とにかく本会議でイエスかノーかの投票にかけてもらうのは大事なことです。
 投票は、全員で声を出して声が大きければそれでおしまいという発声投票で、誰がイエス誰がノーといったことが残らない方法もありますし、一人ひとり議員が呼ばれてどちらに投票したか記録に残る投票方法もあります。どちらを選ぶかは、往々にして政治的思惑で決まります。

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