国会議員には、なによりまず「やりがい」がある

中林美恵子氏


 運営者 ところで私が非常に興味を持っているのは、そのようにスタッフを抱えている国会議員たちが有権者の要望を法律として成立させるときに、自分の価値観で判断して、それをやるべきかどうかを決定する、そしてそれをやるためにはどうすれば最も効率的かということを考える、それ即ち政策立案ということだと思うのですが、そうした能力をアメリカの国会議員はみんな持っているわけですか?

 中林  議会では、そのような能力を発揮することができるわけですから、まずそれをやりたいと思う人が立候補しますよね。アメリカの国会議員の場合は、自分の政策を作ろうと思えば実際にできるわけです。多くのスタッフを国費で雇えますし、手足やリソースも与えられるわけですから。だから国会議員になること自体に非常にやりがいがあります。つまりそういう人材が「立候補しよう」という気持ちになるわけです。

 運営者 なるほどねえ。人間には「なりたい人」と「やりたい人」の二種類がいて、日本の与党には「なりたい人」しか入ってこないのですが、アメリカではまず「やりたい人」が名乗りを上げるということで、これは意識的にもすごい差ができると思いますね。

 中林  システムとしてのバックアップもあります。予算関係であれば、大統領府のOMBに匹敵する機能として、コングレス・バジェット・オフイスという機関がありますし、監査機能を持つGAOもある。日本でいう経済財政諮問会議に匹敵する機能は、予算委員会として議会の中にあります。

 運営者 そうすると、個々の議員は、それらのスタッフに頼りながら立法化を行えるわけですか。

 中林  もちろんです。自分たちだけではとてもできないし、彼らが実際に法律の文言を書く必要などありません。それでも日常茶飯事のように法案は作れますし修正案も提出できます。
 例えば以前にモンタナ州のマックス・ボーカス議員が、「地元のモンタナ州立大に貿易関係についてのある研究所を作るために歳出委員会に対し3ミリオンだったか何かのお金が必要であると言って、歳出法に修正案を加える形で予算を付けたことがありましたね。

 運営者 そういう場合、大学から事務所に陳情がくるわけですね。それを議員が「取り上げよう」と思うのはどういう動機によりますかね。

 中林  それは自分の票になると思うからでしょう。地元に自分がいいことしたとアピールできるだけのものかどうかを考えていると思います。

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