「権限と責任」 選挙で落ちるのが一番怖い

中林美恵子氏


 運営者 ということは、役所に介入していたムネヲみたいに、役所にゴリ押しに行く必要がないわけですね。

 中林  反対に、役所の人たちが議会に来て説明をしなければ、なにもできないわけです。アメリカではそういう権限が国民から選ばれた人たちの側にあります。
 国民はそうしたプロセスを、活字メディアやC-SPANをはじめとするテレビ放送などでチェックできます。最近ではマークアップ(委員会内での法案の叩き台つくり作業)もよく放送されていますし、資料も開示されていますから、国会議員たちに対して責任を問うことができます。再選を狙う議員達にとっては選挙で落ちることが最も怖い責任の取り方です。

 運営者 よく日本では、役所で不祥事があった時に、「結局役人は責任を問われないから」と言われます。それはさっき言ったように、この日本のシステムの中では誰も責任を問われずにすむ「制度」になっているからなんですが。

 中林  もっとも、行政府の役人に政治的な責任を取らせてはなりません。政治に左右されずに行政の執行を実務レベルで引き受けるプロが国家には必要だからです。その身分保障の代わり、その人たちは立法をコントロールしてはならないはずです。

 運営者 三権分立の政体を持つ国家であれば、本来はそうなんでしょうね。

 中林  だから日本は立法府を機能させるために、立法機能を行政府から移管するべきだと思うんです。議院内閣制という観点からどう考えればいいのかは問題なんですが。

 運営者 国会議員が行政府の要衝を抑えることによって、より国会議員たちに強力な権限を与え、行政をコントロールすることができるというのが、本来の議院内閣制なのではないかと思うんですが、そこのところを日本の官僚集団は、与党と結託することで、見事に骨抜きにしてしまっているんだと思いますよ。
 そしてまた、便利なことに本人たちは頭がよいけど、そもそもの原理原則と現状との乖離については、全く気がつかないような便利な頭の構造しているんですよ。

 それで、議員の個人事務所には何人ぐらいのスタッフがいるのでしょうか。

 中林  州によって違いますが、上院の場合は20人から50人のスタッフがいます。

 運営者 国からの予算の割当というのはどのようになっているんですか。

 中林  下院の場合は上院より予算が少なくて、一人につき1ミリオンくらい。10年ごとの国勢調査の結果によって区割りが決まりますので、各事務所に同じ額の予算が割り当てられています。上院の場合は各州から2人選ばれるわけですが、州の人口によって予算の割当が決まります。多い州であれば3ミリオンというところもあるようです。ですから人数も50人くらいいる個人事務所があるわけです。

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