アメリカの議員は役所にゴリ押しする必要がない

中林美恵子氏


 運営者 なぜ委員長にそんなに強大な権限が持たされているんでしょうか。確か委員会のスタッフも委員長についているようなものなんですよね。

 中林  やはり、リーダシップを明確にしておくという一つの方法なんでしょうね。確かに責任の所在は明らかです。
 例えば外交委員会委員長だったジェシー・ヘルムズ(共和党)は、マサチューセッツ州の知事までやった人をクリントン大統領が大使に任命しようとしたときに、その人事が気に入らないと言って委員会でも公聴会でも取り上げず、委員会の推薦もつけず、本会議に送ろうともしなかった、そのためにその人は大使になれなかったんです。
 本会議で取り上げればきっと認められた人事なんですが、委員長一人の権限ですべてを差し止めてしまったんです。

 運営者 彼にはそれをする権限があるわけですね。

 中林  ええ、それでそれは「あまりにも暴君的なやり方だ」とマスコミには非難されましたが、彼はそれをやり通しましたね。それはそういうシステムだから仕方がない。委員長にはそれぐらいの権限があるわけです。
 彼に問題があるということになれば、もちろん次の選挙の投票行動に反映されるでしょうし、そういう意味で責任の所在は選挙での最終審判に役立ちます。いいかえれば「責任を取らせよう」と思えば、取らせることが可能ですし、次の選挙で共和党が少数政党に転落するともなればれば、委員長の座はすべて民主党のものになるわけですから、国民によるお仕置きの効果はこれまた絶大です。

 運営者 日本ではそれぞれの議員が、「自分が法律をつくらなければいけないんだ」なんてことは全くといっていいよいほど念頭にないと思うんです。文句があるなら、法律を提出してみろと思いますね。
 彼らは、一番重要な仕事は役所に働きかけてどれだけ地元に補助金を取ってくるかだと思っているようですが、アメリカでは法律の形で地元に金を取ってくるわけですね。

 中林  省庁に配分される前に、歳出法の中にその条項を入れてしまいます。

 運営者 法律の中に数字とが書き込んであるんでしょうか。

 中林  法律の中にあらゆるものを書き込むのでなく、添付資料の形で細かいものは付けておく場合が多いです。役所、つまり行政府としては、歳出法は法律ですので、書き込まれていることには必ず従わなければなりません。従えない場合は法律改正を立法府に頼むしかありません。

 運営者 ということは、役所に介入していたムネヲみたいに、役所にゴリ押しする必要がないわけですね。

b.pnga.png