国会にリソースがないという事実は辛い

中林美恵子氏


 運営者 選挙というのは、国民の意思を積み上げるシステムのはずですよね。それを行うためにあれだけ巨額のコストをかけているんだと思うんです。

 中林  それが民主主義だと思いますよ。

 運営者 ところがそうなって選ばれた国会議員たちというのは、権限が本来要請されているものに比べると大幅に縮小されていて、では彼らは一体何をやっているのかというと、利益誘導だけなんです。

 中林  行政府のスタッフである官僚たちは、国会議員たちのスタッフではありませんよね。だから官僚たちは、立法府のスタッフとしてちゃんと自分たちの選挙公約を実現するための手足となって働いてくれるわけではありませんよね。
 どうでしょう、日本にはそうしたスタッフはいないのですか。

 運営者 一応両院とも、各委員会の調査スタッフを抱えてはいますけどね(衆議院177人、参議院132人)。相当によどんでいますよ。
 その中にも、「これではいけない」という改革の志を持っている人もごく少数いるみたいですけどね。僕も何人か接触したことはあります。それから議会スタッフから飛び出してきた優秀な学者として、宮脇淳さんみたいな人もいることはいるんです。

 中林  政策秘書についてもひとりやふたりいたところでどうしようもないと思います。
 加えて、実際に立法を行ってきた歴史と経験が国会に蓄積されていなければ、どのようにすればいいのかだって、議員になった人だろうがスタッフだろうが、なかなか判らないでしょうね。国会にリソースがないという事実は辛いものがあります。

 運営者 そうするとですね、アメリカの国会議員は、自分の政策を法律にするためにどのようなリソースを持っているんですか。
 どのようなプロセスで法律を成立させるのかをご説明いただけますか。まず、どのような法律を作らなければならないというニーズはどのようにして出てくるものでしょうか。

 中林  まず、議員はひとりひとり自分の好きな法律を提出する権利を持っています。大統領や行政府にはそのような権限は一切ありません。
 議員が法律提出権を持っているのでいろんな人たちが、「このような法律を作ってほしい」という話を持ち込んできたりもします。提出される法律は一年に1万件にも上ります。地元州政府の人たちから来たり、ロビイストから持ち込まれたり、一般市民からも来るし、シンクタンクからも大学の教授からも、とにかくいろいろな人たちからくるんです。大統領だって議員を通して法律を提出するわけです、減税法案もそうでした。

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