「官僚独裁」の要件は完備している

中林美恵子氏


 中林  ですから霞ヶ関というのは、行政府ではなくて立法府だと思いますね。

 もしそのような形で立法が行われているのであれば、その法律を作っている担当者たちに議会職員として転職して頂くケースがあっても良いのではないかと思います。
 できた法律を実際に執行するのは行政府ですから、立法府との棲み分けが何らかの形でなされるべきではないでしょうか。内閣は行政府と一体ですが、一方の議会では野党だって立法スタッフが必要です。野党が政策や法案を提出し、選挙で政権交代を起こす力を持つことが日本の活性化につながる道と思います。

 運営者 これが立法も執行も、やってる人たちは完全に一致してるんですよ(笑)。だから動かせない。
 そもそも立法セクションと、執行のセクションを分けることには、どのような意味があるのでしょうか。

 中林  やはりそれは、腐敗の回避ではないでしょうか。立法した人がそのまま行政を行っていたら、不正があったときにどの立場の人がお縄をつけるのでしょうか。お手盛りになってしまいますよね。
 それに行政府に立法者が介入してしまうと、行政と立法がごちゃごちゃになってしまうでしょう。そこに一線を引かずに役割分担をしないということは、腐敗につながるわけです。
 だから三権分立のアイディアが存在するのだと思います。一つのセクションが立法も行政も両方握ってしまえば、何でも出来てしまいますよ。

 運営者 そうですね、現実に日本ではそうなっていて、だから役所は何でもできるんです。

 中林  それを避けなければ民主主義ではないし、ある意味ではディクテーターシップになっちゃいますよ。時には官と結びついた政治家たちの、そして時には政治と結びついた官たちの、という具合にケースバイケースで腐敗が起こります。

 運営者 日本では、「制度」として、ディクテーターシップの要件は完備しているということです(笑)。
 例えば、運輸省航空局が「関西に大きな空港をつくりたい」と考えると、役所でお膳立てを整えて自民党とすりあわせ、自分たちがコントロールできるように委員を選んだ航空審議会で、自分たちに都合のいい審議を誘導して行わせ、その結果に基づいて法律を自分たちで作り、担当部局を作り課員を増やし予算も取り、特殊法人を作り、水深14メートルの海を1兆円かけて埋め立てるんです。工事してる間に予算がさらに5000億円増えても、だれも責任を問われないんです。完成した空港がどんなに赤字を垂れ流そうと、だれも責任を問われないどころか、さらに同じくらいの金をかけて拡張工事をしようとたくらんでいるんです。
 これに対して国会はどのように絡んでいるかというと、推進勢力のロビーとしてしか機能していません。
 ほぼ、ノーチェックです。これっていうのはもう、ディクテーターシップ以外の何物でもないでしょう。すべてがそうやって決められているんですよ、この国では。

 中林  要するに、立法府が機能していないということだと思います。立法府がないんです。

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