権力分散と情報公開が「政策競争」の呼び水

中林美恵子氏


 運営者 組織内での競争というのは、どのようになってるんですか。日本の役所では、アイデアをひとつだけ法案として与党・国会に出せばいいんです。選択肢を提示する必要はまったくない。

 中林  アメリカの建国者たちの基本理念は、「権力をなるべく分散させる」ということでした。ですから立法府と行政府をきちんと分け、立法府の中でもさらに上院と下院を分け、さらにそれを委員会に分けて作業を手分けするように今でもなっています。そうすることによって自然に、情報は一つの組織の中によどまずに外に出て行くようになりますし、どこかで意見の衝突が起きると情報公開という形で国民に知らされます。それによって政策の競争が起きるわけです。
 GAOの場合は、GAOにしかできないファンクションがあったから、内部がよどんでしまったんだと思います。でもそれに対して議会が活を入れたり、政治指名で選ばれるコンプトローラー(会計監督官・今はデビッド・ウォーカーという優秀な人がやっています)が、政治指名職なのでそれなりの指導力が発揮できる環境が整っています。
 ただ政策面での競争というのは、アメリカでは共和党と民主党など政党間の政策論争があるからこそできるのだということも忘れるわけにはいきません。

 運営者 GAOの人員を縮小するというのは、どういう根拠目的があるわけですか。

 中林  予算の削減、経費の削減、財政均衡への第一歩というアイディアから始まり、結局は効率の良さがGAO自身に求められたということでしょう。

 運営者 しかしですね、これはすごい規模の縮小でしょう?

 中林  そうですね、一時は「GAOを潰そう」と言っていたくらいですから。議会の付属機関ですから、議会が「予算を出さない」って言ったら終わりですね。

 運営者 それについては、国会議員たちが自分たちで決断できるわけですね。

 中林  そうです。しかし国民が何をどう判断するかは別の問題でしょう。それについては選挙で是非が問われる仕組みです。

 運営者 ということはですね、国会議員としてみれば、自分たちの立法機能のために必要なものは作ったり壊したりできるし、またそれを効率性を追求しつつやらなければならないわけで、それを実際にやっているわけですね。

 中林  そうです。決して簡単ではありませんが。

 運営者 それは、日本から見ると、素晴らしいことだと思いますね。

 中林  財政上も競争がありますし、議員は国民に対する説明責任を持っています。

b.pnga.png