システムを機能させるためには不断の「変革」が必要だ

中林美恵子氏


 中林  それを自覚的にやっているならまだしも、思考が停止しているというのが大変な問題だと思います。

 運営者 だからわれわれは、それをなんとかしなければならない、そこのところをなんとかするのがわれわれにとって最も重要な課題だと僕は考えているわけですが、ほとんどの日本人はそうした問題意識を感じていませんよ。
 「これはこのままでいいんだ、物事を変える必要などないのだ」と確信していますから。

 中林  そうそう、それを言い出すと、「あなたはアメリカ式のシステムや制度を日本に持ち込みたいのか」と叱られてしまうのですよね。

 運営者 そう、「グローバルスタンダードには問題点がある、エンロンやワールド・コムを見ろ。日本のやり方だって、優れたところがあるんだ」とすぐに始めるんです。「お前はハゲタカファンドの味方なのか」とね(笑)。

 中林  十分解析する前に。

 運営者 生理的拒否反応に近い機械的な反応です。しかしそれは、そのくらい「今自分たちが載っかっているシステムが、自分たちにとって住み心地がいい」と白状しているようなものだと受け止めるべきだと思います。

 中林  だから例えば、アメリカではどのようなやり方をしているのかを、本当の意味では理解しようとしないし、いま自分たちの持っているシステムを既存のものとして受け入れてさえしまえば、それ以外のものを理解する必要は一般的にはなくなっちゃうんですね。

 運営者 それは動機理論にあって(適応的動機行動モデル)、自分が満足できるところまで行けば、殻を作ってその中に自分から閉じこもってしまうんです。
 本当はね、「自分たちが今持っているものよりも、より次元の高いものや、より良いものが世の中にはあるんだ」ということを考えないと、過去の自分が否定できないんです。未踏の領域を探検しなければ、進歩というのはあり得ないんです。

 われわれは、制度間競争をやっていると考えるべきだと思うんですね。そうすると、どの国も制度を脱皮させ続けているのではないでしょうか。アメリカだって、政治的経済的な制度を、徐々に進化させているのではないでしょうか。

 中林  上院の予算編成プロセスを見ていると、「変えよう変えよう」と常に努力していますね。
 変更を何度か試みているうちに、それを司る委員会も作ってしまいました。とにかく「ファンクションさせるようにするためにはどこをどう変えればいいのか」ということを、休むことなく一生懸命考えていますよ。システムがすぐに機能したり、一夜のうちに素晴らしいものになったりするなんてありえないことですから、いっぱい無駄なことをしているし、いつまでも変革を続けている。
 それを見ていた私としては、なぜ日本に変革が起こらないのかというのはホントに不思議なことなんです。

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