「制度」としての組織文化

中林美恵子氏


 中林  私はそれは、日本人を思考停止に追い込んだ大きな大きな要因だと思っています。
 本来は、「これがわれわれの文化なんです」という話が出たなら、その「文化」とは、何なのかという分析が待っているはずです。ところが日本人の多くの方が、分析や理解に話しを進める前に納得してしまって、そこで思考停止してしまいます。

 運営者 そしてその考え方が、日本では会社にまで降りていて、「これはうちの会社の文化だから。うちの会社は特殊だから」。これをすべての言い訳にして、上司が無理を通してしまう。どの会社だって他の会社と一緒なんですけどね(笑)。

 中林  会社の中にも、ルールに書かれていないけれどみんなが共通に認識していることがあるはずです。

 運営者 それは組織文化とか組織風土とか言われるものです。

 中林  それを「特殊だから」の一言で括ってしまうんです。しかしその内容を分析したり、表に出したり、説明したりということはあまりしません。

 運営者 したくないんです(笑)。

 中林  しかし、それをしないことには日本の「制度」の問題に対する考察は深まらないでしょう。

 運営者 構造改革に反対している人たちは、そうした自分たちの文化について掘り込んで考えたくない人たちなんです。彼らは、「うちの会社」という、ある集合的な意識を持っていて、そう言った瞬間に責任が分散してだれも責任者がいなくなってしまうんです。
 組織には非常に大きな経済的な力があります。しかし責任者は誰もいない。そしてミドルには実質的に会社を動かす権限が与えられています。だから彼らは、「自分たちが決めたルールにだけ従っていればいい」と考えています。
 それは全く曖昧で恣意的なルールです。つまりルールとも言えない。楽なんだけれど、仕事を通して付加価値をつけなくとも給料がもらえるように、失敗しても責任が問われないようにしているんです。そういうことばかりを一生懸命やっているのが日本のサラリーマンなんです。
 彼らが仕事をやってるといってもそれを額面通りに受け取ってはいけません。霞ヶ関ではどんなに残業していても、それは国民のために仕事をしているのではなく、自分たちの利益のために、自分たちの権限を広げるために、責任を回避するためにやっているにすぎないことなんです。官僚だけでなく、それが日本の組織文化なんです。

 中林  つまり「制度」なんですね。

 運営者 その通りです。

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