長く付き合っても理解できない「危ない国

中林美恵子氏


 中林  本当の意味で日本人と親しくて、知日派なのにアメリカでも政権の中枢に入っている政治的実力者はリチャード・アーミテージくらいですよ。他にはアメリカ全体に認められるほどの影響力を持っている人はあまり見当たらないです。

 運営者 日本通といわれる人としてはですね。
  そしてこれから時代は、中国に傾いていきますから……。

 中林  ありがたいことに今は日本通の人が政権の中に入って重用されているからなんとかなっていますが、学会などではもう既に中国の時代が到来しています。議会でも、「中国研究の予算を増額するべきだ」という話が出ているほどです。
 ただ中国の例にみられるように、地道にアメリカとの関係をつくるのではなく、単に注意を引きたいなら、「あそこは危ない国だ」と思われるのが一番簡単です。97年に私は日本経済問題の公聴会を予算委員会で開催する仕事に携わりましたが、「日本経済が危なすぎて米国経済に支障が生じる」という認識が広がれば注目度は一時的に上昇します。
 あ、そういえばその時一人、日本人エコノミストを代表して公聴会で証言していただいたことがありました。注目はされても「危ない国」では困ります。

 運営者 中前国際経済研究所の中前忠さんでしょう。あの人はすごくまともな人だと思いますよ。ボクも以前、のこのこ訪ねて会いに行ったことがあります。話を聞く値打ちのある人ですよ。
 まあ、これ以上やばくなったら、こんだけ長く付き合っているのにどういう国なのかさっぱり分からないうえに経済的にもどうしようもないということになるわけですから、敬遠するのが普通ですよね。

 日本もアメリカも、ヨーロッパ諸国も、経済システムにしても政治システムに人も多少の違いはあっても同じような仕組みを持ってるわけじゃないですか。ジャーナリズムだってあるし。
 にもかかわらず、これだけ日本は切羽詰まった状況に追い込まれているのに、ほとんどの人にはその認識すらない。あるいは改革をしようとしても反動的な勢力があまりにも強くて何も変えられない。外国から見ていると、日本という国はさっぱり理解できないと思いますよ。
 彼らは日本向けに、これまでにもいろいろなことを言ってきた。最近言ってるのは、「日本には長期的な戦略が欠けているのではないか」ということです。それをG8で塩爺に刷り込んで、彼は帰ってきてから内閣でひとりで「これは大変だ!」といって騒いでも、だれも馬耳東風で彼の言うことに耳を傾けないわけですよ。

 中林  ほんとうは、優秀な人材を向こうにずっと張りつけておき、国際レベルで親密な関係をつくっておくのが理想なのですが、日本人はどんな優秀な人でも2~3年のローテーションで帰国してしまいます。また日本人は海外に赴任しても日本の組織での評価や人事が気になり、どうしても日本を向いたままの仕事をしてしまう。

 運営者 それももう、既にガイジンにはばれてしまってるんですよね。日本組織ではローテーション人事が行われて外国との間で効果的な関係構築ができないし、雇用の流動性がなくて同じ組織の中に居続けるので固定的なものの考え方をしてしまいがちになる、そして自分の属する組織の側に立ったものの考え方しかできない、ということが全部ばれてしまっているわけです。

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