コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか

人を褒めるのはむつかしい  コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか

本間正人氏  



運営者 アメリカのビジネスマンでも、研修に対する態度というのは同じようなものでしょうか、それとも日本人と差がありますでしょうか。

本間  いちばん違うのは、acknowledgement=「承認のスキル」の使用の頻度だと思います。
 ミネソタ州の貿易局で仕事をしていたときに、ほんとに褒めてもらう機会というのが多かったですよ。何かちょっとメモを書いただけでも、Oh, you did a good job! とか褒めてくれるわけです。また褒め言葉のボキャブラリーも豊富です。
 日本の組織にいるとあまり褒めてもらえませんよね。そこはすごく違うと思いますよね。恐らく高度成長期のころは、世の中全体が明るかったですから、会社でぼろくそに言われてもたいして本人はこたえなかったかもしれませんが、世の中がマイナス成長の時代になってくると、プラスのエネルギーを多めにもらうくらいでちょうど沈滞した職場の中でバランスがとれるということになると思うんです。だからぼくは、もっとみんながお互いに認め合い、ほめ合い、いいところを伝え合うという点では、アメリカに見習うべきだと思うんですけどね。

運営者 日本では「他人を褒める」などということは自分の沽券にかかわることであり、何かやってはならないような響きを持つことであります。なぜそうなんでしょうかねぇ。

本間  「褒めるなどということは口先だけのことだ」と勘違いしている人が結構多いように見受けられますね。

運営者 しかしですよ、もし褒めることを口先だけのことだと思っているのであれば、その人は「他のあらゆるコミュニケーションは口先だけだ」と思っているということになってしまいますよね。相手が何か言って来たとしても、「相手も口先だけで言っているのだろう」というふうに解釈しますから、相手の心をきちんと読むことができなくなってしまいます。

本間  研修の時に2人組になっていただいて、「ではAさんがBさんのことを1分間褒めてください、ハイ、スタート」と言って始めていただくと、何人かは、すぐ止まっちゃいますね。
 だけど、褒められている間は、みんなまんざらでもないような感じになってきます。「1分間褒めてもらうということが、人生の中で初めての体験だった」なんていう人も少なくはないんですよ。

運営者 褒めるということは、相手をよく観察し理解していなければできないことですよね。

本間  全くそのとおりですね。言葉にするのは最後であって、その前にどれだけ相手をよく見ているか、よく観察しているか、話を聴いているか、相手の仕事振りとか相手の人となりを心で感じているかが大切です。

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