コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか

組織のガンを変える法  コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか

本間正人氏  



本間  まあ、そういう言い方をすると救われないので、言い方を変えるとすれば、「社会の変化が極めてゆっくりである期間」というのがで人類史の中では長かったんですよ。
 その時には、生きてる年数と経験の量、知識の量と、問題解決能力というのはだいたい比例しているわけです。だから村の長老というのはなんでも知っていて、村人が、「やあ困ったことが起こりました」と駆け込むと、「ああ、38年前にこんなことがあった・・・」といってたちどころに解決してくれるような、のどかな時代が長く続いたんですよ。それが刷り込まれているから、「年長者で立場が上だからオレの方が知っている、俺の方ができる、俺の解決策の方がいいんだ」というように考えるわけです。
 それは1世代だけの問題ではなくて、数世代にわたる人類の記憶に残っていることなのかもしれません。ただ、ここにきて人類の知識の総量というのは2年で倍になっている。もっと早くなってるかもしれません。そうすると、「年長者の方が社会のことを何でもよく知っている」などということはあり得ないわけです。
 担当者レベル、例えば営業のセールスパーソンの方が、お客様のニーズとかご要望とかクレームといったことを把握している。製造現場の末端にいる人の方が、「この工程は、こういうふうに改善した方がいいよな」と思っていることがあるわけです。それを吸収した方が良いマネージャーになれるのではないでしょうか、それともそういう部下の声を聞かずに、頭ごなしに「こうするといいぞ」と言った方が良いマネージャーになれるでしょうか、どちらだと思いますか・・・と質問すれば、「それは部下の言うことを聞いた方がいいよね」というふうに皆さんおっしゃいますよ。

運営者 それは本間さんがそうおっしゃるから説得力があるし、、その時はそう思っているかもしれませんけれど、実際に会社に戻ってみて上司と部下の立場になってみると、どうでしょうかねぇ。

本間  そうですね、「聞いた方がいいよね」と「言うこと」と、「実際にやれる」かどうかというのは、また別問題なんです。

運営者 だけど、彼が凝り固まっていることが、実は組織上の最大の問題だったりするわけです。そういう上司は、部分最適が当然だと考えています。彼の部署の売り上げだけ最大化すれば、他の部署にどのようなしわ寄せがあってもかまわないと思っていたりするわけです。
 ところが今は、みんなが一歩ずつ譲って全体最適を実現すれば組織のパフォーマンスがぐっと良くなるというケースが少なくありません。そこがブレークスルーだったりする。そういう中では彼の存在がガンだったりするわけです。だけど、彼は頑として譲らない。皆それに頭を悩ませているのです。だから彼が変われるかどうかというのが、組織にとって死命を制する問題だったりするわけです。彼を変えるには一体どうすればいいのでしょうか。

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