コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか

21世紀からの一千年のフロンティアとは  コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか

本間正人氏  



本間  大ぶろしきを広げるとするならば、1001年から2000年までの一千年間は、人類は人間の外側にフロンティアを求めていた。ジャングルを切り拓き、大陸を越え、宇宙に出ていった。その間に動力革命もあり、産業革命もあり、人間が外側に拡大する能力は飛躍的に高まりました。そして21世紀からの一千年というのは、人類にとっていちばん未開拓の領域である人間の内側がフロンティアとなるのではないのか。

 アインシュタインですら10%しか脳の力を使っていないし、普通の人は3%くらいしか使っていないと言うではないですか。その能力をもっと拓いた時に、人類はどのような発展を遂げていけるのか。その人間の内側にあるものを開拓していく技術というのが、大きく言えばぼくは「学習学」だと思っていると、それをブレークダウンしていくとある部分はコーチングだと思うし、ファシリテーティングも非常に大切だと思っているんです。

 ラーニング、コーチング、ファシリテーティングというのが3つの重要な要素で、ラーニングすなわち自己学習が基本です。ただ自己学習だけではなかなか能力が順調に向上しない場合があります。自分のことはなかなか自分で気がつきませんからね。だからそこでコーチが一対一でコーチングするということもあるでしょうし、それから集団の中で、めいっぱい人の学習をサポートするのがファシリテーターです。ひょっとすると部分的なティーチングも役に立つことがあるかと思いますが、基本はラーニングで、それをサポートするためのスキルがコーチングとファシリテーティングである、というのがぼくの位置付けです。

運営者 なるほどー。
 話をコーチングに戻しますが、「相手がぶつかっている問題の回答は、相手が持っている、相手の中にある」というのがコーチングの考え方ですが、それに対してで日本の伝統的な考え方では上司が部下に対してティーチングを行うのが当然であるという発想でしたよね。
 それを、「実は答は部下が自分の頭の中に持っているんだ」という方向に上司の頭を切り替えるというのは、簡単なことなんでしょうか?

本間  そこがすごく難しいところです。特に男性には「有能性証明欲求」というのがあって、「“オレはできる奴だ”というのをすごく見せたい」と思っているわけですから、まず「わからない」とは絶対にいたくないわけですし、他人に道を尋ねることすらいやな人がいっぱいいるわけです。
 部下や配偶者が状況説明を始めた瞬間に、「こうすればいい、ああすればいい」と自分の中にあるソリューションを提示してしまうということが条件反射になっている人がすごく多いんです。

運営者 それに、何かを他人に報告するときに、自分の主観的な判断を、客観的な事実として話してしまうという人も多いですよね。自分で勝手に事実をねつ造して、こういうふうになっていますと説明してしまう人です。これというのは結局、自分と自分以外の世界や他人が切り離されていない、自分はこの世界の一部分なんだ、だから自分が思っていることは事実なんだという短絡的な思いこみだと思うんですよ(笑)。

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