コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか

どんな人の中にも潜在的な能力はある  コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか

本間正人氏  



運営者 コーチングについての理解が足りない人というのは、相手に共感する能力が低いとか、あるいはもっと言うならば「相手が自分と同じような心を持っている存在なのだ」ということに対する認識が低い、言ってみれば自己中心的であるのではないかなとぼくは思うのですが。

本間  そういうケースは多いですね。ただ、そうじゃない場合もあります、ただ単に経験不足であるとか。
 「自己中心的な人」という言葉を使うと、その人にとってなかなか変えることができない属性のような響きがあるじゃないですか。ぼくはそういう言い方はあまりしていなくて、「自己中心的な行動パターンをすることが多い」と表現するわけです。それと「奴は自己中心的な奴だ」という言い方の間には大変な違いがあると思うんです。
 ぼくは、どんな人の中にも自己中心的でない行動パターンをとる潜在的な能力はあると思っていますし、そこを引き出すのがまさにコーチングの役割だと思っていますから。

運営者 そうするとですね、意識の氷山モデルがあるとすると、水面上へ出ているのは後から教育することができる知識やスキルだとして、水面下の浅い部分にはその人の意識や物事に対する価値観があるわけでこの部分はなんとか変更することができる。
 その下には変えることができないその人本来の性格があるというのがモデルなのですが、ぼくがいちばん問題にしてるのはその真ん中あたりの意識や価値観をどうすれば変えることができるか。50代の旧日本人の頑な考え方を解きほぐして、言ってみれば論理性も目的性も持たずに、会社にしがみついて生きている人々の考え方を前向きに変えることができるかどうかということなのですが、それをコーチングを使うことによって可能にできるでしょうか。

本間  例えばね、この氷山のモデルであれば、水面下の古い意識の部分をちょっと削ってやれば浮上するということもあると思うんです。

運営者 おもしろい。それは考えたこともありませんでした。

本間  あるいはもうひとつのモデルは、もう少し新日本人寄りの意識を持った人を、旧日本人にぴったり寄り添わせれば、氷山が浮上するという、グループダイナミクスの考え方もあると思うんです。
 岡本さんは、自分と相手との関係を考える時に、さっきの図を書かれましたが、それは、岡本さんの場合には、最初から自分の個が立っているからなんです。ところがね、相手と自分がかなり重なっていると考えている人も世の中にはいるんですよ。

運営者 それがまさに、ぶら下がり社員の意識を現していると思いますが。

本間  あるいは悪い例でいうと自分の方が上にいて、相手を見下しているという人もいるわけです。

運営者 その逆で有名なのが、ノードストロームのお客さんをいちばん上にした逆ピラミッドモデルですよね。

本間  これは単純だけど結構奥の深いエクササイズで、「あなたと家族の関係を絵に書いてください」とか、「あなたと組織の関係を、組織を四角に、あなたを丸にして描いてください」というのをやると、みんな面白い心象風景を描きますよ。

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