コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか

相手のよいところを見つけて、意識を向ける  コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか

本間正人氏  


運営者 なるほど。それでぼくがコーチングの中でいちばん関心を持っているのは、社内コーチ的な立場の人が増えてくれば、日本企業にとって非常にプラスになるのではないかということなんです。そこで、コーチングというのは現在の日本企業に欠けている何を提供しているのかということをうかがいたいのですが。
 社内マネージャーにコーチングスキルを教えるようなコーチングの教育では、何を教えているんでしょうか。

本間  たとえば相手の話を聞くということに関して言えば、うなずくということひとつ取っても、話し手とペーシング、つまり相手の反応を見ながら「ペースを合わせる」ということをするわけですが、そんな基本的なことでも、ちゃんとできない人も少なくないんです。
 相手の考えが自分の考えと違っているときには、「それは違うだろ」と即座に否定するのではなく、「うんうん、なるほど、それもまあひとつの見方かもしれないね」などと、いったん相手の言葉を受け止める言葉を用意するとよいですよ、とぼくは言っています。キャッチャーミットというんですけど。
 そのほうが、「部下が言っていることを否定してはならない」というような精神論よりは、よほど効果があると思います。
 それから、質問の仕方のレパートリーを増やすとか、「相手を責めずに客観的な原因を理解してもらうために原因のリストを作ってみましょう」などといったわりとテクニカルなこともやりますし、それから「相手のよいところを認める」という承認のスキルなどというのもあります。これなんていうのはスキルというよりも「心の持ちよう」という感じだと思いますけれどね。相手のあら探しをしようと思えばいくらでも探せるわけです。相手のよいところを見つけて、そちらに意識を向ければ相手の欠点ばかりが目に入ってこないわけですよ。

 それからやる気を高める方法もあります。大阪電気通信大学の石桁正士先生の技法を使って、入社してから現在に至るまでの個人のやる気の変遷をグラフにした「やる気グラフ」というのを作るんです。それを作ることによって、何が理由でやる気が上がったのか、あるいは下がったのかということ考えていただくわけです。
 それを4人組、5人組で見せっこすると、「どういう上司がやる気を引き出すのか」ということがわかりますよね。管理職になって普段上司をやっていると、そういうことを忘れてしまっているわけです。だけどかつて自分にもヒラだった時代があるわけで、上司と部下の関係で使える方法と、使えない方法を自分の中で棚卸ししていただこうということなんです。

運営者 そういうスキルや方法を研修を通して伝えますよね、みんな理解するものですか。

本間  みんな「理解」はされますよ。

運営者 それが身につくかどうかが問題なのですが。

本間  それはまた別の問題です。

運営者 それは非常によくわかります(笑)。

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