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原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! 日本人初単独取材

ジャーナリスト 芦川淳 氏

日本の十倍近い国防費のわけは日本の十倍近い国防費のわけは

ジャーナリスト 
芦川 淳氏 


運営者 しかしそれほどのものを維持し続けるのってすごいですね。

芦川  前にも言ったように、空母に載ってるのはだいたい6000人ですが、その1隻を支援するための補給艦だの、港の支援施設だの、おおよそ3倍と言われる人間が働いています。
 米国は核兵器を持つことを必要としている国だし、同様に、これだけの規模の空母群も必要だと思っているわけで、それは日本の考える安全保障の形とは根本的に違うと考えるべきです。自国の安全をキープするために高級な保険をかけているわけで、日本のように「神頼みでいればいい」というのは全然違いますよね。


運営者 ちょっとレベルが違いますね。

芦川  投資信託とか財テクとかで財産に保険をかけるのが好きな日本人が、なんで安全保障にこれだけ杜撰なことを行えるのか理解に苦しみます。そういえば取材中に、ある区画に入ったら静かにしてくれ、という場所がありました。もちろん私たちだけでなくて。

運営者 なぜ静かにしないといけないんですか。

芦川  簡単な話で、その区画は、夜勤の人がグーグー寝てるからなんです。区画といってもかなりの人数、100人は楽に収容できる居室なんですが、そこは夜勤の連中が寝てます。まとまった形になっているので、寝ている水兵たちのための静寂はかなり保たれています。乗員を無駄に消耗させないような工夫や努力があり、しかも全体的に余力を作ろうとしています。

運営者 はー、なるほど。

芦川  余裕をつくってストレスを少なくして、それによって乗員を疲弊させずに能力を引き出す努力は他にもあります。結構、そのために働く人も多いんです。フイットネス・ジムのボスの「フイットボス」とかそうですね。
 補給科の一部門にMWR(モラル・アンド・ウェルフェアー・アンド・レクリレーション)を取り仕切る部署がありますが、それもそうです。週に1回、食堂でやっている週末映画の企画を考えて、チケット販売をやっていたり、甲板で遊ぶときのサッカーボールを貸したり。
 働き手は海軍の人間ですが、部署のチーフには民間から登用されたアドバイザーがつきます。ジョージ・ワシントンでは、大学などで専門教育を受けた女性でした。スポーツ・ジムにも同様に民間人のインストラクターがいたり、そういう態勢をとれること自体に驚きました。

運営者 要するに、サービス業の業者が乗っているわけですね。

芦川  これらの人々も、乗員を下支えしている、バックアップの一員というわけで、空母の持っている自活的な強さの秘密なんでしょうね。空母乗員の6000人のうち、3分の1は作戦に携わる要員で、さらに作戦指揮をとる人間は200人くらいしかいません。残りの4000人ほどは、庶務をやったり、食事を作ったり、艦を修理したり、怪我人を治療したりするという後方支援組です。
 残念ながら、その余力が自衛隊にはあるとは思えません。

運営者 たしかに、その4000×12人を船に乗せて世界中動かしているわけですから、途方もない話ですよね。それはやっぱり、国防費50兆いるわなと。
 芦川さんがジョージ・ワシントンを見て、一番驚かされたのは、そういった物量のすごさであったり、兵站の能力であったということなんですね。

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