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原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! 日本人初単独取材

ジャーナリスト 芦川淳 氏

F35が完成すれば何が起こるかF35が完成すれば何が起こるか

ジャーナリスト 
芦川 淳氏 


芦川  F35はA型、B型、C型とあって、A型についてはほぼ開発は終盤に近づいています。問題のB型はVTOL機なので、大変だったみたいですけど、実証試験がほぼ終わりに近づいています。実際に乗せるエンジンを使った試験が終わっているわけですから、もうゴールは近いかと。

運営者 つまり、A型とC型はSTOL機(短距離離着陸機)ってことですか。それでもスキージャンプ台をつければ使えそうだな。
 VTOL機の必要性は、僕にはよくわかりませんが。
 でも、もしVTOL機ができれば、今あるDDHにも載せられるでしょうね。これはでかいな。

芦川  いまあるDDHでVTOL機を運用するのはかなり無理がありますけどね。一発狙いの運用ならできなくもないですが、そんな想定はないんだろうな。

運営者 F35のB型は海軍で使うんですか?

芦川  VTOL機を欲しているのは海兵隊で、海兵隊は対地航空支援を行うときに必要不可欠な道具になります。海兵隊は、沿岸部に近いところで活動するわけで、上陸作戦を高い密度で行う必要がありますからね。
 米海軍や英海軍などは、艦載機としてA型やC型を選択しますが、海兵隊は揚陸活動の攻撃支援に使うためどうしてもB型が必要になります。これはいま使っているハリアーの後継ですね。
 実は私は常々、自衛隊はこうした海兵隊の運用システムをもっといい形で昇華させられると思っているんです。米英が望む海軍の形より、米海兵隊の形のほうが、日本の現状にあっていると思うんですよね。

運営者 それは、認めるべきでしょうね。

芦川  長く自衛隊の現場部隊の取材を続けていて、正直な感想として、自衛隊は将来的に陸海空の戦力をキッチリ3つに分類して、それぞれを運営していく力を維持できるのかどうか不安を感じるんですよ。人、モノ、金、すべての面で不安を感じます。
 そうすると部隊を運営していくために、人の集約、モノの集約、さらに有効なコスト投下が必要になってきます。そのときに、米海兵隊のやり方が意外とひな型として合うんですよ。海兵隊は、同じ部隊のなかに陸海空のコマンドがすべて入っているわけですから、自衛隊の進める統合化にもマッチします。
 自衛隊は外征軍じゃないわけですから、着上陸とか逆上陸に特化して、そのうえで細やかに動くことができる能力があるのがもっとも大切なことだと言えます。ここに海兵隊の持っているマインドを取り入れることができます。

運営者 それは、日本の組織では難しそうだな。アメリカの海軍の空母運用の話を聞いてると、ずいぶん組織的に柔軟で、フリーアクセス的な感じがします。それに比べるとねえ。

芦川  できないのは、陸海空自衛隊自身のプライドとかポストとかいろいろあるでしょう。でも自衛隊だけは、腐った役所的な根性を持ってはいけないと思うんです。清廉かつ精強であるためには、他なら無理なそうしたシェイプアップを受け入れるべきときも来るかと思います。
 もちろんそれを嫌がる人もいるでしょう。例えば防大を出て頑張ってきたのに、将官の一歩手前でそのポストがなくなる、なんてなったらショックですよ。だけどそれじゃダメな時代が来ますよ。上から下までスマートに動けるようにするには、指揮統制の機構をシンプルにする必要だってあります。肥大化した組織をダイエットする必要があるんです。
 海兵隊は、第2次世界大戦で自らのレゾンデートルを証明するために、タラワ攻略戦以降、戦闘下でそれをやってのけました。現在の海兵隊は、旧日本軍を鏡にして写したものがあるんですよ。だから、私は自衛隊が海兵隊のノウハウをパクってくれること期待しているんです。
 ちょっとジョージ・ワシントンから話がそれてしまいましたね(笑)。

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