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原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! 日本人初単独取材

ジャーナリスト 芦川淳 氏

ダメコンを支えるマンパワーと自前の衛星通信インフラダメコンを支えるマンパワーと自前の衛星通信インフラ

ジャーナリスト 
芦川 淳氏 


芦川  あの消火の際の写真を見て、日本の市民団体の皆さんが騒いでいたみたいですけど、私的にはちょっとピントのズレた話に思えましたね。
 「エレベーターまで火災が拡大」、みたいな感じで書いていましたけど、艦の内部構造的な事情からそうした消火方法をとっただけのことで、ちょっと見当違いの騒ぎ方かなと。
 ああいう市民団体の皆さんは、ジョージ・ワシントンがどこまで回航されているかをネットに載せたり、横須賀への米軍艦艇の入港も細かくチェックしてネットに乗せておられます。いや本当にご苦労さまという感じです。あれ、同じことを中国でやったら逮捕されて懲役10年、下手すりゃ死刑なんですけどね。

運営者 まんまスパイでんがな(笑)。

芦川  市民団体の皆さんのウェブサイトは中国の情報当局も非常に興味を持っているみたいですよ。

運営者 (笑) そんなことはどうでもよくて、ああいったタイプの火災は運用科の指揮下にあるダメージ・コントロール部門が活躍するということですね。

芦川  ジョージ・ワシントンは、米軍が最初にIT化に取り組んだ艦だと言いましたよね。ダメージ・コントロールに関しても、艦内のセクションごとに置かれたダメコン・ステーションで情報共有できるようになってます。その端末は持ち運びができるので、接続端子につなげば今の艦内の状況がどうなっているのか全て把握できるようになってます。
 だから、そういう事態が起こったときにもすぐに対応が可能で、ダメコンの能力はホントに高いです。
 海上自衛隊の艦艇にも艦内LANがひかれていて、東芝のTOUGHBOOKを端末に使って同様のダメージ・コントロールをやっているのですが、これが省力化に結びついてしまっていて・・・。やはりダメージ・コントロールは一気に人を集めて処理するのが肝要なので、あまりに人が減りすぎると困る部分もあるんですよ。

運営者 僕なんかは、軍艦は妙に乗員の数が多いなあと思っていますが。

芦川  確かにそうですね。例えば原子力潜水艦なんて、ただ運用するだけなら実は最低40人いれば動かせると言われています。すべての操作をほとんど艦橋からリモートコントロールできるし、オートマチックですからね。でも、何かあった時に対応できる人間がある程度まとまった数いなければダメなんです。それこそ「ダメージ・コントロール要員」と言った方がいいかもしれませんね、
 米海軍は、そうした要員の確保を重視していて、ITによる情報共有と指揮所機能の充実、そして非常時の人員確保を実現させるべく努力しているんです。だから、どこで何があったかすぐ分かるし、結果的に今回の火災みたいに排気口から逆流させて放水、消火するということができるんです。

運営者 被害局限措置ですね。
 そうするとですね、そういった話を自衛隊に当てはめたとして、5600人を10万トンの船の中に押し込んで同じようにできるんでしょうか。

芦川  いきなりやれと言っても無理ですけど、人数の確保や予算が十分ならやってできなくはないでしょう。
 まあ10万トンの艦と言っても、普通の護衛艦で10万トンというのはないわけですから、艦艇は空母ということになっちゃいますよね。それそのものの目的とか意味とかもあるから・・・ただ能力的な話で言うなら問題ないですよ。同じことをやらせたら海上自衛隊のほうが上手という意味で。

運営者 じゃあ欠けている部分で言うとどんなことが・・・?

芦川  そうですねえ、情報通信の分野じゃないですかね。海上自衛隊は自前で運用する通信衛星なんか持ってないですから。

運営者 なぜ海上自衛隊はそれができないんですか?

芦川  お金がないからです(笑)。

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