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原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! 日本人初単独取材

ジャーナリスト 芦川淳 氏

食堂は階級によって天と地ほど待遇に差あり

食堂は階級によって天と地ほど待遇に差あり

ジャーナリスト 
芦川 淳氏 


芦川  食堂の中で一番重要なのは、士官用のワードルームです。
 ワードルームというのは士官室のことなんですけど、イコール食堂と考えていいです。艦内の士官社交場でもあるので、当然全員正装、つまり制服着用です。ただ、いわゆる大衆食堂の形ではないので、ご飯はすべて給仕がついて出されます。これぞ士官の待遇ってやつですね。
 このワードルームにもいくつか種類があって、通称「ワードルーム3」と呼ばれている部屋だけは、略装でもOK。このほか航空団の士官が使うダーティーシャツ、あるいはダーティーオフィサーズメスというのがあって、そこでは飛行服や整備用のツナギでもOKなんです。そうしたルーズな服装が認められているのは、ここだけが24時間営業でやってるからなんです。いろいろな職種の人が集まりますからね。

運営者 僕だったら、そこばっかり行ってそうだな。

芦川  だから、ワードルーム3はいつも大混雑でした。今回は入港が近いこともあって食堂がひとつ閉まっていて、ダーティーシャツとワードルーム3が合体して一晩中大混雑になっていました。
 飛行隊の連中は自分たちだけで固まっていますし。そういうところの輪に入っていくには、会話を選ばなきゃだめで、「今日の空中給油は天候が悪くて大変だったでしょう」なんて聞くと、「おお、そうなんだ。よく知ってるなあ」という感じで入っていけるのですが、いきなり「日本から来たんです」なんて言ったら「だから何?」って不思議な顔して終わりかも(笑)。

運営者 士官以外はどうなってるんですか

芦川  下士官と兵曹はでかい食堂で一緒に食事を取っていますが、下士官でもトップクラスの上級曹長だけが集まる部屋があるんです。それをCPOメスと呼んでます。メスというのは雑居部屋的な意味があって、海軍では食堂の意味になります。
 CPOは、チーフ・ペティ・オフィサー、つまり下士官のリーダーですね。ここには強面のオッサンばかりが集っていて、全体的に静かです。
 ちなみにCPOメスと一般の兵曹が使うメスデッキでは、同じ料理が提供されています。CPOメスのほうが米国のダイナーっぽい雰囲気なのに対して、一般のメスデッキはハンバーガーショップ的な感じでワイワイガヤガヤしてましたね。人数もそちらのほうが断然多くて、一度に500人くらいが食事できます。
 それから急いで食事をしなければならない連中は、「スピード」という特設コーナーで食べてます。

運営者 これは吉野家ですな。それで、どうしてそういう差をつけるんですかね。

芦川  やはり階級や立場に応じた扱いが大事とされているからでしょう。若い水兵はとりあえず楽しく食事できればいいけれど、CPOになると互いの職場間での情報交換も重要です。
 実質的に現場を仕切っているのはこのCPOたちですからね。その頑張りや士気の高さに対して、待遇を良くして報いるというのもあると思います。ちょっとした特権意識なわけですけど、下っ端の連中から見れば「頑張ればオレもああいうふうになれるんだ」と思わせることができるし、これは結構な励みになります。

運営者 うーむ。

芦川  これが士官となると、海軍伝統の待遇の良さが光ります。大昔なんて士官こそまともな乗員で、それ以外の水兵は酒場で拉致してきて働かせたなんていいますからね。アタマを使うのが仕事の士官は、そのための心身ともに良いコンディションである必要があって、そのための好待遇という言い方もできるでしょう。
 水兵たちから見れば、部門長の少佐や中佐は、上のまた上という偉大な存在です。特に海軍は、待遇の差は天地ほどの差があります。

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