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原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! 日本人初単独取材

ジャーナリスト 芦川淳 氏

航海中に一番大事な補給品はなんだろう

航海中に一番大事な補給品はなんだろう

ジャーナリスト 
芦川 淳氏 


運営者 それは日本の自衛隊でも同じなんですか?

芦川  海上自衛隊には艦載のヘリコプター部隊がありますが、それを見ると指揮命令系統についてはよく似ていますね。艦艇部隊と航空部隊が独立した指揮命令系統に属していて、航空部隊が艦隊に派遣されます。ただ、海上自衛隊の場合、派遣航空隊のトップは3等海佐で、ヘリコプター搭載艦の艦長は2等海佐か1等海佐ですから、このあたりは違いますね。

運営者 そういう指揮系統から外れるような人もいるんですか?

芦川  もちろんいますよ。パイロットだけど空母側の人間として働く人もいます。もっとも航空団でも空母でも同じ海軍の仲間ですから、そこには違和感はありませんね。
 例えば、空母の中にCATCCという航空管制所があります。そこにはパイロットや管制のプロが机を並べて仕事をしています。こうした人々は、作戦科という部署に加わり、その一員として航空管制の手助けをします。多くの場合は航空団からの派遣という形になりますが、なかには完全に空母側の一員になっている人もいます。

運営者 つまり、その人たちは、船を動かすのではなくて、着発艦の管制をしてるわけですね。

芦川  ええそうです。巨大なディスプレイを見ながら、空母からの着発艦、それと作戦機への命令や指示などをやっています。つまり搭載機が飛行甲板を離れてから帰投するまでの一切合切ですね。これは空母側がもっている指揮作戦能力です。

運営者 僕なんか、空母に航空機が80機載っているのであれば、そのパイロットというのは何をやってるかわかりますから、まあ大切なんだろうと思うけど、それ以外の人は何をやっているのかと。普通は分からんわけですよ。

芦川  でも、いろいろ話を訊いていくと、サプライ(補給科)というのが非常に大切だということが理解できました。そのなかのあるディビジョン、その部署は倉庫の在庫管理を受け持っているんですが、そのトップの中佐に「補給品でもっとも重要なものはなにか」と聞いたらね、「メディスン」と即答したんですね。

運営者 はあ、なぜなんでしょう?

芦川  航海中には必ず傷病が発生する。24時間態勢の勤務ですから疲労もたまりやすいし、意外とカゼもひきやすい。航空自衛隊の基地2つ分が、たったあれだけの空間に押し込められているわけですから、それでストレスがたまらない方がおかしいですよ。しかも航空機の発着艦という危険極まりない作業を常に行っている。
 飛行甲板にある着艦機を拘束するワイヤーが、着艦作業中にすごい勢いで行ったり来たりするんですよ。これに足をすくわれただけで、確実に足首を骨折しますからね。そういう場所ですから、けがも病気も多いわけです。

運営者 パイロットにブリーフィングを行うレディ・ルームも、狭いところにぎゅうぎゅうにパイロットが座ってるわけじゃないですか。ストレスがたまりそうですねえ。

芦川  レディ・ルームなんかエリートのたまり場だから、環境はいいほうですよ。でも飛行甲板では冷たい雨や風が身体を叩くところで作業しなきゃならない。だから、空母としての機能を維持するために、乗員の健康を維持すること、つまり医療部分での後方支援がすごく重要視されるんですよ。いわゆる医官は医科と歯科をあわせて10人以上乗ってますからね。この数字はすごいですよ。
 そして、その医療行為のための医薬品ストック、これがもっとも重要なアイテムになるというわけです。前線での傷病を癒すために医療体制の充実は不可欠で、それを最初に考えているところがすごいと思いました。旧日本軍は、モルヒネやキニーネがなくてみんな苦しんだじゃないですか。

運営者 そうですね。「ロジスティクスで戦争する」という考え方が日本人にはあまりないですからね。正面装備の整備には血眼になるけど。

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