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原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! 日本人初単独取材

ジャーナリスト 芦川淳 氏

空母の持つ基地機能とは

空母の持つ基地機能とは

ジャーナリスト 
芦川 淳氏 


芦川  それは、福利厚生のレベルをある程度上げていかないと、人がついてこないということがわかっているからですよ。
 それと海軍は10年くらい前に海軍長官と作戦部長が「1年のうちの通算で半年は乗員を陸に上げる」ということを約束しています。港とか基地とかの陸上勤務につけるんです。ずーっと海にいるとストレスがたまっちゃうし、家庭崩壊にもつながりますからね。
 やっぱり近代的な軍隊は、福利厚生がないとダメになっちゃうんです。給料を上げるとか、特典が多いとか、仕事に集中する時間もあるけれど、精神的に弛緩している時間もあるという形をつくらないとダメなんですね。

運営者 教務科の次は?

芦川  教務科は5人ぐらいしかいない小さなデパートなんですけど、一番大きい所では350人くらいいるところもあります。
 飛行機の整備をやっているエア・デパートメントとかですね。整備といっても、軽微な整備は航空団のほうでやるんです。ちゃんとした整備はシップ・カンパニーの、つまり船側の方の人がやるわけです。
 ここで整理したいのですが、空母というのは、船だけでは意味がないですよね。その船の上に航空団が載っていないと。

運営者 ただの箱ですよね。

芦川  航空団は、一応固定配置っぽく扱われていますが、搭載先の空母を移動することもあるわけです。昔は航空団のトップは中佐でしたが、今は大佐で空母の艦長と同格なんです。ということは、航空団は艦長の指揮下にはないということになります。

運営者 へー。

芦川  つまり、航空団は艦長の統制には従うけど、指揮下には入らず、じゃあどこの指揮下にあるかというと空母打撃群の群司令が直上の上司になります。艦長や航空団司令は大佐ですけど、打撃群司令は少将になります。
 それで航空団は移動すると言いましたけど、そのときに、ヘビーな整備部隊まで一緒に動いていたら、規模が大きくなりすぎてたまらんですよね。なので、航空団は航空機の運航にともなる日常の整備については自分たちでやるけれど、重整備については艦艇側の支援を頼るんです。

運営者 はー。で、重整備ってどういうことですか?

芦川  例えば、エンジンの完全なオーバーホールとか、機体の破損箇所を修理するとかです。そういう整備には、専用の機械やスペースが必要で、しかも全体的な規模が大きい。そうすると、やはり空母にそれを常置したほうが断然効率的です。航空機中間整備科なんてモロにその代表ですね。

運営者 つまり空母は、そういうちゃんとした整備ができるということですね。

芦川  言い換えれば、空母には立派で贅沢な基地機能が揃っているということです。
 飛行部隊としての機能は航空団に集中していますが、その活動を支える機能については空母側に集中している。そして両者の立場の切り分けは、トップの階級を見ても分かるように完全に切り分けられている、ということです。航空団は、空母の上の空間を間借りしていると思ってもいいかもしれませんね。

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