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原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! 日本人初単独取材

ジャーナリスト 芦川淳 氏

乗員のメンタル面を支える教務科乗員のメンタル面を支える教務科

ジャーナリスト 
芦川 淳氏 

芦川  空母の中には、デパートメント、日本なら「○○科」となる部門が全部で十数個あります。管理科から始まって、補給科、工作科、医科、歯科、もろもろの科がいっぱいあります。この中でも面白いのは教務科ですね。

運営者 教務科くらい自衛隊にもあるでしょう。

芦川  ないんですよ。教務科が扱っているのは宗教です。

運営者 それじゃ、教務科という言い方がおかしいでしょう。宗教科じゃないですか。

芦川  いえ、やはり宗教科ではなくて教務科なんです。
 なぜかというと、宗教について、教務科の人間が指導するわけではないからです。士官として、ユダヤ教1人、プロテスタントが2人にカソリックが1人いるだけなんですよ。でも空母にはイスラム教の人もいれば仏教徒も載ってるわけですからね。
 彼らは管理するだけで、自分たちが主導してミサをやったりするわけではありません。「やりたい人中は、勝手にやってください」ということ。何人かで「来週の日曜日に大変重要な宗教的行事を行うので場所を用意してほしい」と頼むと、教務科の科長が中佐なんですけど、「場所を用意するから、そこでやってもいいよ」と言うわけです。
 これは福利厚生の一環として、宗教活動を是認しているということなんです。

運営者 ははあ、なるほど。

芦川  メンタルな部分のサポートをしなければならないというのがアメリカっぽいところですね。

運営者 日本だと、「全員一丸となってぶつかれば、どんな困難でも乗り切れられる」なんてドグマがあるから。

芦川  でも、アメリカ人には懺悔が必要なんですよ。懺悔を聞く人が必要だし、ひとりでモノを考える習慣があるんです。ひとりになれる場所はチャペルしかありませんから。
 図書館の運営もチャペルがやっています。それからメールが使えるパソコンが22台あります。これもチャペルに置いてあって、15分交代で使えます。

運営者 個人では持たないんですか?

芦川  持ってる人もいるらしいんだけど、セキュリティの問題から外部との接続が制限されていたり、また持ち込みの許可を得るのも面倒くさいしとか。だったら最初から使えるパソコンでメールを打ったほうが早いし。
 ちなみにジョージ・ワシントンは、すでに1992年、日本じゃ、やっとニフティとかPC-VANが出て来た頃に、1.5Mのブロードバンド、しかも衛星回線を導入してるんです。もちろん米海軍初でしたけどね。

運営者 インターネット以前ですね。

芦川  教務科のトップである中佐が言っていましたが、福利厚生を考えるのなかでEメールの効用は非常に重要だと。「電話は時間が不自由だが、メールは自由に出せるので、メンタル部分では本当に支えになっている」ということだそうです。

運営者 集団生活を物心両面で支えるモノに対して敏感になっているということですね。

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