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原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! 日本人初単独取材

ジャーナリスト 芦川淳 氏

空母は攻勢に回るための道具

空母は攻勢に回るための道具

ジャーナリスト 
芦川 淳氏 


芦川  原子力空母をつくるという話はあったんですけどね、技術的な問題もクリアできなかったし。結局、ソ連は陸軍国であったということなんでしょう。
 それと空母というのは、守勢の側が持つものではないんですよ、使いにくいんです。どうしてかというと敵地の近くまで接近、つまり押し出していくことで初めて意味を持つものですから。守る側としてはあまり意味はない。空母の代わりに、空母より大きな地面を使えばいいわけですから。

運営者 なるほど。確かにそうだ。

芦川  だから空母は、攻勢の側が持つと非常に使い手のあるものなんです。アメリカ海軍は当時攻勢側だったから機動部隊を作ったんでしょうね。それが米ソの戦いだったんです。攻撃側は守る側の3倍の兵力が必要だってのがあるじゃないですか。

運営者 ソ連陸軍が作ったドクトリンですね。

芦川  守る側のソ連にしても、同程度の戦力をもって張り合っていたわけですが、国力の差で結局負けてしまいましたよね。軍を支える経済力がなければどうしようもないし、米軍こそ、その経済力を守るための軍隊であるわけですから。だからこそ、アメリカは結局ずっと攻勢側で来た。彼らがその形を維持しようと考えたときに、空母が絶対に必要だということがわかったわけです。
 それを色濃くしたのがベトナム戦争で、あの時にはトンキン湾上の空母から、繰り返し繰り返し空爆をやりました。あれがなければベトナムからの撤退はもっと早まったかもしれません。あれで、艦隊決戦から抜け出た空母の運用法、つまり敵地のギリギリに空港を持っていって、爆撃する道具として使うというのが確実になったんですね。
 それからだんだん、「フロム・ザ・シー」とかさまざまな戦略ができてきて、「アメリカが勝つには、シー・ステーション能力しかないな」ということがわかったわけです。空軍はそれが気に入らないので、24時間以内に地球上のどこへでも展開できる能力を伸ばしました。ステルス爆撃機のB2なんかモロそうです。

運営者 ふむ。

芦川  つまりアメリカ海軍は攻勢に回るための道具として空母を作り続けたんです。その結果、原子力空母の採用で、行動能力が広くなり、前方はるかへの展開能力が拡大されてきた。しかしある時期、その先が突然なくなってしまったんです。
 それがソ連の崩壊だったんです。

運営者 レーガン大軍拡をやったら、ソ連がなくなってしまったと。

芦川  ベトナム戦争の時には、すでに現在のアメリカの空母機動部隊のひな型は出来ていました。ソ連と一気に艦隊決戦をつけることもできたわけですが、アメリカはさっき言ったようにベトナム戦争で用兵を変化させたわけです。
 それからもう一つは、長距離の核兵器を艦隊から発艦させて撃ち込むというのもあったんですけど、それもなくなりました。むしろ現在は、通常兵力をどうやって迅速に上陸展開させるか・・・海兵隊に一緒にどこまで上陸作戦をうまくやるかという話になっているくらいです。

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