HOME > インタビュー・コーナー > 原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! > 発艦までに必要なことは山ほどある

原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! 日本人初単独取材

ジャーナリスト 芦川淳 氏

発艦までに必要なことは山ほどある

発艦までに必要なことは山ほどある

ジャーナリスト 
芦川 淳氏 


運営者 それから、空母の戦闘能力の核心って何なんでしょうね?

芦川  艦載機を必要に応じてできるだけ早く発艦させること。そのために各デパートメントが協力をして、力を集中しています。そのタイムスケジュールを考えるのがすごいと思いましたね。

運営者 「タイムスケジュール」ってなんですか?

芦川  発艦までに必要なことってたくさんあるじゃないですか。
 パイロットのチェックも必要だし、燃料も必要、爆装も必要、爆弾を格納庫から移動させて、信管をつけなければなりません。機体そのもののチェックも必要、機体を留めているチェーンの拘束も解かなきゃいけないし、滑走路上の誘導員も必要。カタパルトの誘導員もいるし、発艦専用のカタパルト・オフィサーもいます。彼がエアボスと連絡をとっていて、OKを出せばやっと発艦できるわけです。
 水蒸気カタパルトの圧力を見る人も必要だし、甲板全体の安全を確認する人も大切です。この人がカタパルト・オフィサーと連絡をとって、カタパルト・オフィサーがOKを出したときに、初めてその安全確認をする人がボタンをして飛行機は射出されます。

運営者 パイロットは、航空機に乗り込んで、全部のOKをもらった後、指示に基づいてエンジンを段階的に始動して、それで発艦するわけですけれど、カタパルトから射出されるわけで、自分がやるわけじゃないですよね。

芦川  インカムで聞いてるんですけどね。
 シューター(カタパルト・オフィサー)が「シュート」のサインを出したら、通常は3秒以内に射出されます。彼はどうしているかというと、操縦桿から手を離してコクピットの側面にあるグリップを持つんです。そうやって、「自分は余計なことをしないよ」というサインを出すわけです。それでカタパルトから射出されて上空に舞い上がった時には、出力は全開になってますから、そのとき初めて操縦桿を握るんです。
 そういう、「もう後は任せた」という世界なんです。だから怖いのは、機体重量に見合ったカタパルトの圧力が出なかった場合です。

運営者 そんなことありうるんですか?

芦川  何年かに1回ぐらいはあります。その場合、機体は海にドボーンと落ちます。これは、圧力の調整だけでなくなく、カタパルト自体の故障も原因になりますね。

運営者 つまりパイロットは、発艦に関しては、チームワークを信じるしかないところがあるわけですね?

芦川  お互いに全部信じるしかない、そんな感じでしょうか。
 爆弾が全部ついているか、燃料がすべて入っているか、甲板は安全か、カタパルトの圧力は大丈夫なのか、ジェットブラストディフレクターはちゃんと機能しているか、前方の安全は確保されているか、射出された後の空域は空いているのか、これらを短時間で集中してコントロールするには、やはり阿吽の呼吸と信頼感がないと。

運営者 そこがポイントですよね、まったりまったりやっていっていいというものではない。1分間に3機から4機発艦のペースでやらなければならないわけですから。

芦川  だから、同じことをやらせれば、多分一番短い時間でやることができるのが彼らなんですよ。いろいろな作業を、空気を読み合いながら安全かつ瞬時に行う。神経を一点に集中させて完成させてますね。

b.pnga.png

p1.jpg
sign.jpg