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原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! 日本人初単独取材

ジャーナリスト 芦川淳 氏

原子炉はフェイル・セーフになっている

原子炉はフェイル・セーフになっている

ジャーナリスト 
芦川 淳氏 


運営者 原子力空母の原子力事故は、これまでないわけですか。うーん、日本が最初に原子力船を作ったら、1週間かそこらで、おじゃんになっちゃったわけですよ。
 あのときのことは僕もよく覚えています。アメリカには、原子力潜水艦や原子力空母があるのに、それまで日本では「核」というと広島長崎の災禍とか、こっちがダメージを被るイメージしかなかったわけです。ところが「原子力船むつ」の完成によって、わが国も原子力を制覇し、制御して平和利用することができるんだということで、ものすごい希望があった。
 子供向けの学習雑誌なんかにも、「原子力船むつができるよ」と大図解とか載ってるわけです。ワクワクしてニュースを見ていたら、原子炉が臨界に達して1週間かそこらで、あっと言う間に終わりですよ。思いっきり終了。
 それに対してアメリカは、鬼のようにばかでかい原子力空母が10隻も世界中をうろうろしているわけですよ。はっきり言ってここに国力の差を感じます。しかも事故がないと。踏んだり蹴ったりですよね、われわれは。

芦川  艦載型の核動力炉なら、彼らはすでに200基以上を運用していて、「むつ」なんかとはレベルの違う経験を持ってます。空母の原子炉なんか、製造にしろ運用にしろ、むしろ楽なほうだと思いますよ。潜水艦に使う核動力炉のような、すごい閉所に入っている小型原子炉のほうがずっと設計も扱いも難しい。
 小型原子炉の出力調整は大変だし、逃げ場のない場所での使用だからウンと安全係数を上げていかなければならない。
 いまアメリカの原潜には重さ200トンくらいの小型原子炉が搭載されてますが、これをロサンゼルス級攻撃型原潜だけでも50隻くらい作ってますからね、すごい数ですよ、まったく。

運営者 ノーチラス号とエンタープライズ号だと、どっちが早いんでしたっけ?

芦川  1954年就航のノーチラスが世界初の原子炉を積んだ艦艇です。そこから経験を積んできたわけですが、当然色々と、安全に関する難しい局面はあったと思いますよ。
 デカイ事故としては、1963年の原子力潜水艦スレッシャーの事故があります。これは大西洋の4000メートル以上の深海に沈んでしまい、放射能汚染は起きないだろうと考えられたんです。しかもおそらく、ぎりぎりの段階で原子炉を停止し、原子炉そのものも圧壊を免れたとされています。もっともまずいのは、チェルノブイリみたいに炉心が露出することじゃないですか。

運営者 そうですね。

芦川  あれさえ起きなければなければ、被害は最低限に抑えられます。実は、艦載型の原子炉は何かヤバイことがあったら自動的に止まるような設計になっています。例えば、原子炉の制御棒を下から押し上げる形にしておいて、何かがあったら燃料棒が自動的に下にストンと落ちてそのまま停止とか。

運営者 フェイル・セーフになっているということですね。

芦川  そうです。フール・プルーフというレベルですらあるかもしれません。

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