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原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた! 日本人初単独取材

ジャーナリスト 芦川淳 氏

ハンドラーはコンピューターを超える

ハンドラーはコンピューターを超える

ジャーナリスト 
芦川 淳氏 


芦川  そうです。ただ、飛行甲板上の機体の動きに関してはエアボスの下に、ハンドラーという士官がいてコントロールしています。
 飛行甲板を模したでかいプレート上に飛行機の模型が置かれ、さら模型にネジやボルトを乗っています。ネジやボルトや機体に誰が乗っているかとか、爆装の状態などを表わしてるんです。どのスポットにどの飛行隊の機体が置かれていて、パイロットが2人乗っているのか1人なのか、ミサイルはなにを積んでいるのか、燃料は満タンなのか半分なのか、ということが模型で把握できるわけです。

運営者 つまり、爆装したら「爆装した」という連絡がハンドラーのところに来るわけですな。

芦川  はい。必要な人間にはインカムが配られていますから。ぜんぶつながってます。

運営者 民間の航空運用でやってるやつと同じですね。

芦川  甲板上の動きはハンドラーがそのように仕切っていて、その情報をエアボスに流すんです。だれの機がどこにあって、パイロットが載っているかどうか、ちゃんと把握しています。
 スポットに並んでいるときは、機体同士がぶつかりそうなぐらい密集してますからね。スポットが一杯だったら、「違う所に入れろ」などと指示するわけですよ。
 面白いのが、このハンドラーの操作ってぜんぶアナログで、これをコンピューターができるかと訊くとできないんだそうです。人間があいまいなところを臨機応変に判断するというのはコンピューターにはまねできないからで、コンピューター化は何度も試みられましたが断念されました。直感による人間的な判断なんですね。

運営者 そういうのは、人間が模型を使って判断するのが一番だということが経験上わかっているわけですね。

芦川  陸上の飛行基地だと、飛行場勤務隊というのがそういう仕事をやるわけですが、ここまで詳しくはやりませんね。密度が圧倒的に違う狭い空母上ですから、こういう作業が必要になるんです。
 実際、空母の甲板上は、滅茶苦茶です。耳栓なしなら耳がつぶれるほどうるさいし、油断すれば機体にぶつかって怪我をする。戦闘機が、わずか数メートル横で発艦直前のフルパワーの状態で吠えている、その横でカメラ構えて写真撮るんですよ。

運営者 ひえー

芦川  うるささでいえば、地球上で一番騒音が激しいところだと思いますよ(笑)。最強にうるさい。
 航空自衛隊の飛行場と較べても、レベルが違います。耳栓なしで30分間放置されたら、1週間は耳が聞こえなくなると思いますよ。すごいですよ。

運営者 いちばんうるさいのは、ジェットエンジンの音ですか?

芦川  発艦するときのジェットエンジンの音ですね。やっぱり距離も近いし、E- 2Cとか幅のある機体だと、翼が頭の上を通っていくぐらい接近するし。そんな距離だから、新型のF/A-18だと旧型よりさらに音がでかいから、完全防音していてもそれを通して鼓膜が痒くなるんです。顔全体の皮膚もビリビリビリッーと叩かれますね。

 米軍でも家族を対象にした体験航海とかを横須賀基地なんぞでやってますが、そんな近くまでは接近できないんですね。
 やっぱり危ないですから。われわれは、カタパルトのすぐ近くで撮影をやってましたが、目の前のシューター(カタパルトで発艦指示する士官)を上をエイヤっ!とジャンプすると、そのまま戦闘機のエアインテイクに吸い込まれて即死です(笑)。

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